キャッシュレス化の波はどこまで? 日本のプロゴルファーの現状
◇国内男子◇三井住友VISA太平洋マスターズ 3日目(16日)◇太平洋クラブ御殿場コース(静岡)◇7262yd(パー70)
日本でプロツアーに出場するゴルファーは、各試合でエントリーフィーなるものを支払っている。日本ゴルフツアー機構(JGTO)の主管・主催大会では、出場登録(レジスト)時に会場で1万1000円(税込み)を納めるのがルール。これまでは現金払いが貫かれてきたが、今週はクレジットカードによるキャッシュレス決済が選手に初めて許可された。
大会を主催する三井住友カードの協力を得て、タブレット端末で決済した。深堀圭一郎と同社担当者による発案。84人の出場者のうち20人がこのシステムを利用し、クレジットカードで支払いを済ませた。
ただ、今回はあくまで例外のケースで、ツアーの規則では現金払いが定められている。この規則のもとでは、選手がコース近隣で金融機関やATMを探し回ったり、持ち合わせがなく選手間でのお金を貸し借りしたりすることも珍しくないという。
特にスポット参戦の外国人選手らは戸惑うことが多い。ちなみに、日本女子プロゴルフ協会はインターネットやコンビニでのカード決済を認めている。一方で、支払いを「現金書留」に限る試合も男女を通じてあるという…。
10月の消費税引き上げに伴うポイント還元政策で、キャッシュレスはこの秋のキーワードのひとつになっている。日本の民間総支出に対するキャッシュレス決済比率は19.9%で、他の先進国に比べて低いのが現状だ。米国は46.0%、英国は68.6%、韓国は96.4%とされる。(2016年/世界銀行「Household final consumption expenditure」およびBIS「Redbook Statistics」の非現金手段による年間決済金額から算出)
三井住友カードの担当者は「日本にはATMが街中に多くある。治安も他国に比べて良いことから、消費者が現金の所持や決済に関する不便さや不安を抱えることが比較的少ない。比率が低いのはこうした背景も大きい」と指摘する。
とは言え、安全性や利便性が担保されれば、現金以外での決済は加速するだろう。大会は今年、ギャラリー向けのサービスとして、会場内すべての店舗でキャッシュレス決済を導入した。選手にとっても財布を持たない“身軽”な参戦への風穴となるか?(静岡県御殿場市/桂川洋一)
■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール
1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw