川村昌弘 フルスイングへの誓い
◇欧州&アジアン◇メイバンク選手権 2日目(22日)◇サウジャナG&CC(マレーシア)◇7135yd(パー72)
久しぶりに川村昌弘をカメラで撮影していて、ファインダー越しに「おや?」と感じた。ティショットを打った直後のフィニッシュがピタリと止まらず、収めたいと思っていたフレームから外れていく。「そうですね。今は振りちぎっていますから」と、時には体が大きく傾くほど強く振り抜く1Wショットのスイングは、以前に比べて豪快さが増していた。
「去年の頭くらいからかな。“もう日本ではやらないぞ、絶対こっち(欧州)に来るぞー!”と心に決めてから振るようにして」。スイングにこめた思いと努力も実り、昨秋の最終予選会(ファイナルQスクール)を11位タイで通過。今季、ついに念願の欧州ツアー進出を果たした。
「2、3年前と比べたら20ydは飛ぶようになったと思います」と話す通り、日本ツアーのスタッツを見るとその差は歴然だ。18年の平均飛距離は17年に比べてプラス約11ydの291.68ydを記録し、ランキングでは64位から15位に浮上。さらに16年と比較すると、約17ydもの飛距離アップに成功している。
「自分くらいのサイズ(体型)だと、コントロール重視じゃ勝負できない。しっかり振って、コントロールもしないとやっていけない。レベルが高いですからね」。
もちろんフルスイングは、ミスショット時に大きなリスクも生む。実際に2日目も、前半9番の1打目を大きく右に曲げて、フェアウェイをはるかに外れた傾斜上のギャラリーロープ近くの林に打ち込んだ。グリーン方向は完全にスタイミーになっていたが、「低く出して木に当てるより、高く上げて葉っぱに当たったほうがグリーン近くまで行く」と枝との接触も覚悟して打ったボールは、わずかな隙間をキレイに抜けてナイスオン。パーで切り抜け、「ラッキーもありましたね」と涼しい顔だった。
2日目を終えた川村は通算5アンダー、首位に3打差の11位タイで決勝ラウンドに進出した。しかし本人は、この好ポジションにやや違和感を覚えているようだ。「今週アジア(欧州・アジア共催大会)が多いからなのか、自分の順位にビックリしています。そんなに良いゴルフをしていないので、(欧州単体だと)30位か40位くらいのイメージ」。そんな驚きも、主戦場を海外に移した25歳が逞しく成長している証なのだろう。(マレーシア・シャーアラム/塚田達也)
■ 塚田達也(つかだたつや) プロフィール
1977年生まれ。工事現場の監督から紆余曲折を経て現在に至る。35歳を過ぎてダイエットが欠かせなくなった変化を自覚しつつ、出張が重なると誘惑に負ける日々を繰り返している小さいおっさんです。