サスペンデッド中に垣間見えたもの
練習日から連日、午後になると雷雲が発生してサイレンが鳴り響いていた全米女子オープンだが、本大会に入っても状況は変わらなかった。大会初日の今日は、午後2時47分に再び例のサイレンが鳴り響いた。出場選手は156名。予選ラウンドの2日間は、午前と午後に分かれてのラウンドで、最終組は午後2時42分にスタートする予定だった。
その最終組がスタートする前のサスペンデッド決定。雨は降っていなかったものの、雷雲が近づいているとの事で、競技は中断された。ようやく再開されたのは、中断から3時間36分が経過した午後6時23分。現地は午後8時を過ぎても日が残っており、再開から2時間程はプレー出来るとはいえ、全員がホールアウトすることは難しい状況だ。
午前にプレーを終えた選手は良いが、大変なのは再開を待たなくてはいけない選手達だ。一度、リラックス状態に戻したテンションを再開時には再び高くしなくてはいけないし、拘束時間が長い為、通常のラウンド以上に体力も消耗する。さらに、翌日は早い時間からこの日消化出来なかった残りのホールをこなさなくてはならないなど、その影響は大きい。
初日、午後1時14分スタートだったポーラ・クリーマーも、サスペンデッドに巻き込まれた一人だ。そろそろ再開されるというアナウンスを聞き、クラブハウス前に出てきたポーラは、携帯プレーヤーで音楽を聴きながら待機していた。
そこへ、小さな女の子がトコトコとサインを求めて近寄ってきた。この場所は本来選手・関係者しか入れない場所だが、この小さな侵入者に気付いたポーラは、笑顔でサインに応じてあげた。緊張感漂う中でのほっとする一幕だったが、こんなことをさりげなく出来るのも、ポーラの魅力の一つだろう。多くのアメリカ人が地元のヒロインとして応援したくなる気持ちも良く分かるというものだ。(編集部:今岡涼太)
■ 今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka