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日本とは真逆の道? プロテスト廃止で拡大する中国女子ゴルフツアー/ジェニファー・リーGMインタビュー

2020/01/21 12:30

過去最多の144人が出場し、ウェイティングも発生するほど盛況だった今年の中国女子ゴルフツアーのQT(予選会)だが、特筆すべきは日本人選手の参加人数だ。直近で比較すると、2020年:34人(出場144人、以下同)、2019年:16人(120人)、2018年:4人(88人)、2017年:1人(74人)と急激に増えていて、今年は60人が出場した中国に次ぐ2番手で、海外勢として最大勢力を誇るにいたった。

08年に設立されたCLPGA(中国女子ゴルフ協会)は、09年がツアー初年度で今年が11シーズン目。昨年は、平井亜実が同ツアーで日本人初優勝を飾っている。今回、QTに参加した選手たちに話を聞くと、来るまでは食事や治安、衛生面など不安は大きかったというが、実際に訪れてみるとコースの綺麗さ、練習施設の素晴らしさ、人々の親切さに驚き、食事や水といった生活面でも大きな苦労はなかったという。英語はあまり通じないが、自動翻訳機などを駆使して楽しそうにコミュニケーションを取る姿が印象的だった。

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そんな中国女子ツアーの展望や現状分析、日本人選手たちについて、QT会場で、CLPGAのゼネラルマネージャー(GM)であるジェニファー・リー(李紅)氏に話を聞いた。

―今年は30人以上の日本人選手がQTを受けていますが、どう思われますか?

最初はこんなに多くの日本人選手がいることに驚きました。しかし、日本ツアーの制度が変わったと聞き、納得しました。日本人選手が来てくれることを、とても歓迎しています。すでに何人かの日本人選手がツアーにいますが、たとえばプロアマのとき、もちろん言葉でのコミュニケーションは難しいものの、ゲストの球を一緒になって探してくれたとか、行動が素晴らしいという評判をよく聞きます。中国人選手は、会話はできても、まだ細かいところの教育が必要です。そういうところを見習ってほしいと思っています

―将来的にCLPGAをどんなツアーにしていきたいですか

わたしたちは、2018年にプロテスト制度を廃止しました。それまでは、18歳になったら中国ゴルフ協会のプロテストを受験できて、合格したらCLPGAのQTに出られるという日本と同じような仕組みでした。しかし、それでは若い人たちの障害になってしまう。失敗して海外に出ようとしてもコストが掛かるし、1回だけのテストというのは体調変化のある女性にとってはアンフェアでもある。だから、わたしから提案して、中国ゴルフ協会にも受け入れてもらいました。いまは16歳からQTを受験できて、プロにもなれます。

16歳から2年間、中国ツアーで戦って準備をする。18歳になったらアメリカや日本ツアーに出ていく。そうして、世界で活躍するような選手になってほしいです。日本ツアーは50年以上の歴史があって成熟しているけど、中国はまだ10年。もっともっと裾野を広げていかないといけません。

いま中国ゴルフ協会に登録しているジュニアは約7万人いて、30%が女の子です。ほとんどが15歳以下。昔はフォン・シャンシャンセキ・ユウティンのように、親がゴルフ好きだから、子供にもゴルフをやらせたという家庭が多かった。でも、最近は子どもたちが好きでやるパターンが増えています。ジュニアの試合を全国で年間300試合くらいやっているので、その中から良い選手が出てきてくれると嬉しいですね。

―日本や韓国では女子ゴルフが男子ゴルフよりも人気があります。中国ではいかがですか

女子ゴルフは中国でも人気がありますよ。去年、CCTV(中国の国営放送)で放送された「WGC HSBCチャンピオンズ」(PGAツアー)、「ビュイックLPGA上海」(USLPGAツアー)、「中国女子オープン」(CLPGAツアー)のなかで一番視聴率が良かったのはどれだと思いますか?じつは「中国女子オープン」だったんです。中国ではマラソン大会など、参加者が数万人規模ですぐに数字でわかるようなイベントが投資先として人気です。でも、中国は市場も大きいですし、ゴルフを観ているのは裕福な人たちが多いです。費用対効果を考えると、女子ゴルフはとても良い投資だと思うので、日本の企業にもぜひ大会スポンサーになることを考えていただきたいですね。

―最後に日本人選手になにかメッセージはありますか?

中国女子ツアーはとてもオープンなツアーなので、みなさんが来てくれることを大歓迎します。日本からも近いですし、食生活も問題ないと思います。いまツアーでは52%が海外の選手なので、中国語と英語の両方を使っています。もっともっと日本の選手たちが来てくれることを願っています。
(聞き手:編集部/今岡涼太)

今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール

1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka

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