2012年 ハッサンII ゴルフトロフィー

復興を遂げた地 モロッコ・アガディール

2012/03/26 08:01

1960年に大地震によって壊滅的な被害を受けたアガディール。現在はモロッコ有数のリゾートとして世界中の旅行者が訪れる

「ハッサンII ゴルフトロフィー」 が最終日を迎えるが、開催地であるモッロコ・アガディールという街を改めてご紹介したい。アガディールはモッロコ南西部の都市。カサブランカから飛行機で約1時間。「モロッコのマイアミ」と称され、ヨーロッパ人のリゾート地として人気が高い。しかし、この町は1960年2月29日に2度の大地震に見舞われ、町のほとんどが破壊され、一時は廃墟と化した。死者は約1万5000人に達したという。約50年の歳月を経て、都市基盤をゼロから再開発し、現在の町へと生まれ変わった。まさに地震から復興した地なのだ。

鰯の水揚げ高が世界一の港には、鰯漁の船が連なっている

現在のアガディールは、沿岸部には西洋式リゾートホテルが集中し、町の中心部には商業施設や高級マンションが建ち並ぶ。目抜き通りにはパームツリーがあり、外国人観光客も多いのでモロッコにいることを忘れてしまう。モロッコ=砂漠、というイメージからは想像もできないほど、近代的な町へと発展した。

さらにアガディールは鰯の水揚げ高が世界一。町にある港には、数百艘の鰯船が浮かび、そのイワシを目当てに無数のカモメが飛び交っている。アガディールで獲れた鰯の50%以上は日本へ輸入されているのだという。日本人が食べている鰯のほぼ半数はアガディール産なのかもしれない。他にもモロッコ沿岸部はイカ・タコなどの漁が盛んで、その輸入先として70%が日本というから驚きだ。日本の食文化に、モロッコの漁は欠かせないものとなっている。

町の中心部。パームツリーがあるせいか、アメリカンな雰囲気が漂っている

地震に見舞われた漁の町。東日本大震災と重なる部分が多い。昨年の同大会では、欧州男子ツアーの選手会長であるトーマス・ビヨーンが、出場選手全員に50ユーロ、キャディに25ユーロを募金としてあつめて、被災者への寄付を呼びかけた。50年の歳月を経て、復興を遂げた町は、いまやプロ・アマ問わず世界中のゴルファーを招き、贅を尽くしたホスピタリティで外国人旅行者を受け入れている。日本から約30時間かかる、ここモロッコ・アガディール。モロッコ有数のリゾート地の背景には、被災から復活を遂げたストーリーが隠されていた。

2012年 ハッサンII ゴルフトロフィー