昨年大会からマイナス4打 星野陸也を成長させる醍醐味は
◇欧州ツアー◇ポルシェ シンガポールクラシック 初日(21日)◇ラグーナ・ナショナルゴルフリゾートC(シンガポール)◇7420yd(パー72)
星野陸也にとって2年連続の出場となるシンガポール大会。ルーキーイヤーの昨年は「傾斜がすごすぎてスコアが出る気がしなかった」と83位で予選落ちに終わった。今年は4連続バーディで発進し、7バーディ、3ボギーの「68」。首位に4打差の4アンダー21位で滑り出した。
出だしの1番では6mをねじ込み、以降の3ホールはいずれも2m以内のチャンスをモノに。風の強まる午後スタートのなかでは「最低限、いいスコアで回れたかな」と合格点をつけた。
「去年の反省を生かして、アイアンもドライバーもウッドも全部、替えてきた」と今週の14本はシンガポール仕様。今大会だけではなく、試合によっての微調整は毎度のことだ。
もともとクラブに関する興味は人一倍ある。「環境と自分のスイングに対して、どのクラブが良いかのデータは大量にある」と膨大な数値をスマートフォンに貯め始めたのは、下位で予選落ちした2018年「全米オープン」を終えてから。現在は最低2セットのクラブをベースに、データとにらめっこしながら試合に臨んでいる。当時「本当に出られて良かった。100個くらい学んだことがあった」と言った言葉は、決して大げさではなかった。
海外に出れば、毎週クラブ担当が会場にいた日本に比べ、クラブ調整についての環境は恵まれていない。そんな状況を楽しめているのは、27歳が持つ強みのひとつだろう。「ヨーロッパに出る前から想定して、準備してきたから調整も簡単。うまくいかない時もたくさんあるけど、改善していくのも楽しさの一つ」。世界各地のコースに応じたクラブ選びは、海外を転戦する上での醍醐味になった。
昨年は首位と8打差がついた初日を、今年は4打差で終えた。「例え成績がうまく出なかったとしても、ヨーロッパでやっていて良かったと思える」。一つひとつ壁を乗り越えていく瞬間が、楽しくて仕方がない。(シンガポール・ラグーナゴルフグリーン/谷口愛純)