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2016年 BMW南アフリカオープン
期間:01/07〜01/10 場所:グレンダワーGC(南アフリカ)

ルーキーシリーズ: 戦いのリングへ上がるシンクィン

シーズン最終戦の「NBOゴルフクラシックグランドファイナル」3日目は強い風の吹き荒れる一日となり、この日17番でのバーディは僅か2つに留まったのであるが、そのうちの1つを奪ったカラム・シンクィンがバーディを決定付ける人生最高のショットを放ったときの快感は、若いボクサーがノックアウトパンチを決めたときと同じようなものだった筈である。

その翌日も冷静さを保ったイングランド出身の彼は、最終ラウンドを4アンダーの「68」で回って3位タイに入り、最も重要な曲面でベストパフォーマンスを発揮する形でヨーロピアンツアーのシード権を手にしたのである。

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シンクィンは気さくで呑気な風貌をしているが、内には燃え盛る勝利への闘志を秘めており、その体にはリングの中でパンチを交換する冷静沈着で自己鍛錬を積んだスポーツマンの血が通っている。

実際、22歳の彼はボクシングの経験があり、これ以上違っているスポーツもないだろうというゴルフへの一風変わった転向を果たしているのである。

「僕はアグレッシブなボクサーでしたが、まだとても若い頃でしたので、そこまでハイレベルではなかったのです」とシンクィン。「2試合しか戦ったことはありませんし、それも家族内のことで、従兄弟たちとの試合でした。とても楽しかったですよ」。

「僕の従兄弟のマイルス・シンクィンはプロボクサーで、最近12試合目のマッチで勝利したところなんです。彼は12勝無敗で、近々ライトヘビー級の英国タイトルマッチを戦うんですよ。彼はスタイリッシュなボクサーなんです」。

「全く違うスポーツであるのは僕も良く知っていますが、グランドファイナルの最中に、試合後の彼と話したんです。僕らは共にスポーツマンであり、お互い道具を使うことに長けていますからね」。

「自分の家族を通してボクシングは随分やりましたが、何年か続けて、試合を幾つかやったところでボクシングはやめました。17歳になるまで毎日プレーしていたゴルフを続けたいと思ったんです」。

「どうしてゴルフにはまったのか自分では分からないんです。とにかく父の影響でゴルフを始め、クラブを握ったのですが、これが気に入りました。すんなりと自然な感じでしたね」。

その自然な才能は、かつてニック・ファルドレティーフ・グーセン、そしてパドレイグ・ハリントンといった名手たちのバッグを担いだ高名なキャディであるデビッド・マクネリーがヨーロピアンツアーから下部のチャレンジツアーへ鞍替えし、ロンドン出身の若者の才能を伸ばす手助けをする決断を促した。

シンクィンは2人のパートナーシップの契機についてこう説明した。「チャレンジツアーは一旦休む格好で、スウェーデンでヨーロピアンツアーの大会に2週連続して出場したのですが、そのとき、自分のマネージメント会社を通じて彼を引き抜くことができました。というのも、彼は前にマッテオ・マナッセロとコンビを組んでいたんです」。

「それ以来、彼は僕の側にいるんです。彼はどういうわけか僕に才能を見出し、僕は彼を留めておくことができたというわけです」。

■クラッチプレーヤー

シンクィンには最も重要な曲面で実力を発揮する習性がある。実際、彼は「カザフスタンオープン」で3位タイ、「フォーシャンオープン」で8位タイ、そしてグランドファイナルで3位タイと、最も賞金の高い3大会で好成績を残している。そのことについて彼は、「大きな大会を中心にスケジュールを組んでいますし、そういう大きな大会で成績が出せれば昇格できますからね」と述べた。

■フィッツは親友

シンクィンは2013年の「全英アマチュア選手権」決勝でマシュー・フィッツパトリックを下しているが、彼は今年「ブリティッシュマスターズ」を制したフィッツパトリックとは親しい仲であると述べた。「マットは最高の選手ですね。僕らは共にマイク・ウォーカーをコーチにつけていますし、共にフィル・ケンヨンからパッティングを学んでおり、言うまでもなくこの2人は僕らにとって上手く機能していますね」。

■ウォーカーカップ

シンクィンはフィッツパトリック、そしてチャレンジツアー王者のマックス・オリンらと共に、2013年の「ウォーカーカップ」に英国及びアイルランド連合チームの代表として出場している。代表チームは大会では敗れたものの、シンクィンは最終日のシングルスで勝利を収めた3人の英国及びアイルランド連合チームの選手の一人となった。

輝かしいアマチュアでのキャリアを終えると、プロの世界でやっていく準備は整っていると語ったシンクィンは、僅か2シーズンでチャレンジツアーからの昇格を果たした。

「プロとしてやっていく準備はできていると感じていましたね」とシンクィン。「16歳から力を発揮するようになり、イングランドのアンダー16で好成績を収め、その年は力強く締め括ることができました。翌年は7打差でカリストロフィーを勝ち取りました。あの勝利で弾みがつきましたし、少しずつ自分のゴルフが進歩して行きました」。

「英国内を車で回っていたアマチュア時代とは、飛行機の移動が大きな違いですね。昨年のプロ1年目は、3週続けて大会に出ると疲れていましたから。今年はそれを克服し、精神的にも肉体的にも強くなりました」。

「とてもリラックスした状態でいるのが自分らしいんです。僕は忍耐強い人間ですからね。シード権が獲れていたかったら、がっくりきていたかもしれませんが、多分今と同じように振る舞えていたと思いますよ」。

今、まさにヨーロピアンツアーというリングへ上がろうとするシンクィン。彼は周囲の期待に悩まされると言うことは殆どないようだ。しかし、ひとたび事が始まれば、ボクシンググローブを外した彼は、果敢なファイトを見せてくれることだろう。

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