R&AとUSGAがアンカーリング禁止を発表
全英ゴルフ協会(R&A)と全米ゴルフ協会(USGA)は、ゴルフ規則14-1bによりアンカーリング(長尺パターなどで用いられる打法。クラブのグリップ付近を支点とし振り子のように打つ方法)を禁止すると発表した。このルール改定は4年に一度のルール改定に伴い2016年1月1日から施行される。
2012年11月28日に提案された14-1b規定の改定は両協会による十分な協議のうえ最終的に施行が承認された。このルール改定は様々なゴルフコミュニティからの意見や助言を広範囲にわたり収集し熟考の末に決定された。
両協会はこのルール変更の理由説明と詳細な報告書を発表した。報告書では、アンカーリングではなく従来のスイングがいかにゴルフの基本的な要素であるかということと、そしてなぜアンカーリングのストロークがゴルフの根本を変えてしまい、ゴルフそのものの減退に繋がるかについて説明している。しかし報告書は、改定後もベリーパターやロングパターの使用を認めており、選手は引き続き様々な方法のストロークが可能となることを強調している。また報告書は今回の変更で選手に新ルールに順応するのに時間がかかり過ぎたり、不公平となったり、アンカー式のストロークを禁止することが試合に影響を与えるべきでないと締めくくっている。そしてこのルール変更は健全なゴルフの未来にとって重要な要素であるとしている。このルール変更の詳細は www.usga.org/anchoring に詳しく記載されている。
全英ゴルフ協会のチーフ・エグゼクティブのピーター・ドーソンは「私たちはたくさんの時間をかけて幅広い層の団体や個人から様々な意見を受けて検討してきた。本日発表した報告書は今回の決定についてどのような問題定義がされたかについて広範囲に渡って記されている。私たちはこの改定に対立意見があることも認識している。しかし今回の十分な協議の末のこの決定はこれからのゴルフ界にとって正しいものであったと思っている」と述べた。
全米ゴルフ協会会長のグレン・ネイガーは、「今回のルール改定発表の前後に多く受け取った情報を考慮した結果、我々はこの14-1b規定がゴルフにとってとても重要な伝統と、選手は全てのクラブをスウィングしなくてはならないというこのゲーム特有のチャレンジを保護する上で必要だという結論に達した」と述べた。さらに、「この新ルールはストロークの伝統的な方法の根底にあるネイチャーを指示するものであり、アンカーリングがもたらしうるアドバンテージを排除し、技術レベルに関係なく全てのプレーヤーたちがゴルフというゲーム固有のチャレンジと相対することを確約するものである」と続けた。
現行の14-1規定は14-1baとして書き換えられ、14-1b規定は以下のように制定される。
14-1b「クラブのアンカーリング」
「ストロークの際、選手は直接的に、またはアンカーポイント(支点)を用いて、クラブを固定してはならない」
備考1:直接的固定とは、故意にクラブを体の一部に固定させることを指し、これを禁ずる。ただし前腕部分や手でクラブを握ることは禁じない。
備考2:アンカーポイント(支点)とは故意に前腕を体の一部に固定し、もう一方の手でクラブをストロークすることを差し、これを禁ずる。
14-1b規定はこれまでの長尺パターやベリーパターなどの使用は認めているが、それらによるアンカーリングによるストロークは禁じている。今回の改定はストロークの際の一部に焦点を充てた変更であり、引き続き選手たちによるバラエティに富んだ打法を可能にしている。
2016年1月1日からの施行という点も、必要に応じて選手たちがこの新ルールに順応するための十分な時間を与えている。
全英ゴルフ協会のルールと用具基準のエグゼクティブ・ディレクターであるデビッド・リックマンは「この新ルールは過去に対してのものというより、これからの未来に向けたものだ。これまでアンカーリングを用いてきた選手、またこれから2016年1月1日の施行までにそれを用いる選手は、ルールに則ってプレーしているため、それによって残された戦績(結果)については一切の影響を受けないものとする」と説明した。
「今回のルール改定における協議はとても有益なものだった。そして実にたくさんの視点が寄せられたことにとても感謝している」と全米ゴルフ協会のエグゼクティブ・ディレクターのマイク・デービスは言った。「今回の改定がすべての人に賛同されていないことは承知している。しかしこれからのゴルフ界がより魅力的なもととなるための今回の決定がすべてのゴルファーに受け入れられることを願っている。」
この改定についての更なる詳細やデモンストレーション動画、写真、ガイダンスについては www.RandA.org/anchoring または www.usga.org/anchoring を参照のこと。