欧州男子ツアー

カンヌの病院へワッフルを届ける あるフランス人選手の近況

2020/05/14 09:44
ロマン・ランガスク(※写真は2020年オマーンオープン初日 WarrenLittle/GettyImages)

新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止が続く欧州ツアー。今週の選手ブログは、都市封鎖中のフランス・カンヌの病院へワッフルを届けることで、病院スタッフを笑顔にした24歳のフランス人選手、ロマン・ランガスクから寄せられた。

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父とどうしたら人々の助けになれるかと言うことについて、ちょっとした会話をしていたとき、父は「ロマン、大きな事は無理かもしれないが、ちょっとした支援だったらお前にもできるよ」と言ったんだ。

そこで、親友でテニス選手のブノワ・ペールにこの話をすると、僕らはこの隔離によって苦しんでいるお店の人々と、病院で働いている人々を同時に助けたいということになった。僕らは地元のお店を支援することに決め、そこへワッフルを注文して、地域にある2つの病院へ届けることにしたんだ。僕の洗礼時の教母がそのうちのひとつの病院で長年勤務しているので、彼女に連絡先を紹介してもらい、この件のアレンジを手助けしてもらった。

1週間だけでも、いつもと違う食事を提供することで皆にスマイルを届けることができたら良いなと、僕らは思ったんだ。1日3回配達したのだけど、初回の配達からワッフルは飛ぶようになくなった。皆かなり喜んでくれたし、人々にとって、この厳しい時期に一息入れるきっかけになったんだ。多くの人の活力源になったんだよ。

ブノワとは、2、3年前に彼のコーチを通じて知り合った。彼はゴルフが大好きで、昨年は「レース・トゥ・ドバイ」の最終戦を観に来たんだ。僕も行ける時は、彼のプレーを観にテニス観戦へ出掛けている。

僕らは何度か一緒にゴルフをプレーしたけれど、僕はまだ彼とテニスをプレーしたことはないんだ。ゴルフであれば、誰もがラウンドをシェアできるし、それぞれ自分のボールをプレーするから、皆が楽しめるよね。ただ、テニスで僕が彼と対戦できるわけがないし、僕との対戦であれば、彼は普段の5から10%ほどの力しか出さなくていいわけだから、彼にとってはつまらないプレーになってしまう。これがゴルフのイカしているところで、レベルの異なるプレーヤーとラウンドをシェアできつつ、皆が楽しめるんだ。

ロマン・ランガスク(写真は2020年オメガドバイデザートクラシック2日目 AndrewRedington/GettyImages)

この隔離期間中、僕はフランス南東部にある父の家に滞在している。ここは僕にとって、ちょっとした練習のできる最高の場所なんだ。車庫にはトレーニング用のスペースもあるし、庭でショットの練習をすることもできる。僕にとっては、これがゴルフのゲームとの関係性を保つ最も簡単な方法だったんだ。

隔離期間中、最初の2週間はいくつかトリックショットの練習をしたけれど、インスタやFacebookであまりに凄い技を見てしまい、これにはかなわんと思ったね!でも、ああいうのを見ていると楽しいよね。

最初の1カ月くらいは大丈夫だったのだけど、ここ数週間はかなりゴルフが恋しくなってきている。今は、このロックダウン中、一緒に暮らしている大親友と庭で練習しているけれど、もういつでもゴルフへ戻りたい感じだね。

庭にはネットが張ってあるので、ボールを打つことができるけれど、そもそも僕は練習レンジで打つこともそんなに好きじゃないし、ここでの練習も30分ほどで飽きてしまうんだ。ただ、次のトーナメントはまだ数カ月先だから、練習時間はたっぷりあるね。

フランスの状況は改善している。僕らはロックダウンで自宅にいるようになって2カ月になるし、外出するときは、行き先と理由を記した申請書を作らなければならなかった。

今はそれも改善し、今週からは100キロ以内であれば移動できるようになったし、ゴルフクラブも再開しているんだ。ただ、レストランやバーはまだだね。この状況を打破するのは難しいけれど、僕らは正しい方向へ進んでいるようだ。コースは再開したけれど、健康ガイドラインを守るための制限は厳しいね。

昨季は僕にとって最高のシーズンで、今年もドバイとカタールでは、最初の2、3ラウンドを終えた時点では良い順位につけていたので、これは自分のゲームが競い合う上で良い状態にあり、良い結果を残せる証明となった。昨年は僕にとって最高の年で、今も週ごとに自分のゲームが進化しているけれど、自宅にいなければならない今の状況は誰もが同じであり、誰も大会でプレーしていない今は皆が我慢しなければならい。

これまで海外メジャー「マスターズ」のような最高峰の大会に出場したことはあったし、パリで開催された2018年「ライダーカップ」ではスコアボードを運ぶ係をやったけれど、僕はそういう舞台でプレーしたいんだ。

昨季を終え、世界ランキングを上げていた僕は、今年より大きな大会に出場できそうなところだった。今は我慢しなければならないけれど、僕はそういう大会に出場するんだ。最大級の大会でも良いプレーや良いパフォーマンスを見せられるのは自分でも分かっていて、それは単に時間の問題なんだ。

欧州ツアーが今年残りのスケジュールを発表できるタイミングになれば、僕も準備を整えるため練習スケジュールを組むことになるけれど、それまでは自宅で練習しながら家族とこの時間を過ごすことになる。これまで、こんなに家族と時を過ごすことはなかったし、今後もないだろうから、僕はゴルフを横において、今は皆と一緒にいるこの瞬間をエンジョイしているんだ。皆と一緒に過ごすのは良いものだからね。