最終9ホール5バーディの猛攻届かず 中野麟太朗は“最大の目標”にあと一歩
◇アジアパシフィックアマチュアゴルフ選手権 最終日(6日)◇太平洋クラブ御殿場コース(静岡)◇7217yd(パー70)
言葉が詰まって、出てこなかった。勝てば来年の「マスターズ」と「全英オープン」の切符が手に入る大会を「最大の目標」と掲げ、一年間の集大成として挑んだ。中野麟太朗(早大)は4日間の振り返りを聞かれ、10秒間沈黙した。そして、「まだまだだったな、それだけです」と言い、キッと唇を噛んだ。
8アンダーの暫定首位に立って迎えた最終日。日没で持ち越しとなった第3ラウンド、5番のパーパットからスタートし、いきなりボギーをたたいた。続く6番、折り返して11番でもスコアを落とし、12番で痛恨のダブルボギー。同組で首位に立ったウェニー・ディン(中国)と2打差の3位に沈んだ。「(第3ラウンドは)ほとんど放心状態で、よく覚えていない。必死でした」。前日までに培ったリードは目の前で呆気なく崩れた。
引き続き行われた最終ラウンドでも2番、6番でボギーをたたいた。残り9ホール時点で首位とは6打差。「あと残り全部バーディを取るしかない」。なにかが吹っ切れたかのように、最後の猛攻が始まった。
後半10番から12番で3連続バーディを奪い、15番も沈めた。3打差を追いかけた最終18番(パー5)は急な下り傾斜から2オンに成功。一矢報いるべく放ったイーグルパットがカップをわずかにそれたところで、20歳の挑戦は終わった。会場からは健闘をたたえる大きな拍手がわき起こった。
「(猛チャージが)遅すぎたなという感じ。優勝しないとダメだって、ずっと順位を気にしながらプレーしていた」と目標への意識が強かった分、焦りはあった。出場者で世界アマチュアランキング最上位の5位で、優勝したディンとは4日間同じ組でプレー。「最後の9ホールでようやく彼と勝負できたと思った。間近でプレーを見て、勝つゴルフっていうのはああいうことなんだって」と世界の高い壁を痛感した。
「時間をかけて、なにがダメだったのか調べていきたい」と悔しい経験を成長の糧とする。世界を目指すうえで、立ち止まっている時間はないのだ。「自分のやってきたことは間違っていないと思うので」。また新たな一年が始まる。(静岡県御殿場市/合田拓斗)