さくら、苦しみを乗り越え「涙が出そうだった」と安堵
「マンシングウェアレディース東海クラシック」最終日、通算13アンダーの単独首位からスタートした横峯さくらは、同じ最終組を回る不動裕理と若林舞衣子とともに、最終ホールまで熾烈な優勝争いを演じた。
2人に1打差をつけてスタートした横峯は、スタートホールで1メートル、3番では2メートルを沈めてバーディを奪う幸先の良い滑り出し。4番パー3では、ティショットをグリーン右のラフに打ち込み、「思ったよりライが悪くてパーが取れるかな、という感じだった」とピンチを迎えるが、ここからピン直撃のチップインバーディ。その後もバーディを重ね、14番までに通算18アンダーまで伸ばし、若林に2打差、不動に3打差をつける。
「14番を終わって、(優勝まで)イケるかな? と思った」と振り返る横峯だが、迎えた15番パー5。ティショットを大きく右に曲げて林に打ち込むと、ボールが木の枝に引っかかる不運に見舞われる。それでも「動揺するかな、と思ったけど冷静に判断できた」という横峯は、アンプレヤブルを宣言し、3打目はPWでフェアウェイに出して林から脱出。残り214ヤードの4打目はグリーン手前の花道に止まるが、ここから寄せワンで何とかボギーに抑えた。
「あそこをボギーで上がれたのは、自分の中で成長したところだと思います」。その後は17番で不動にも1打差に迫られるも、リードを辛くも守り切り、通算17アンダーで今季4勝目。国内女子ツアーでは最年少で生涯獲得賞金5億円を突破し、約3ヶ月ぶりの勝利に華を添えた。開口一番「やっと落ち着きました。素直に嬉しいです」と安堵の笑顔。「3ヶ月は長く感じました。終わった瞬間は涙が出そうでした」。涙こそ見られなかったが、「プレーしても楽しくないし、試合に出たくないとも思った」という精神的にも苦しい時期をようやく抜け出し、喜びもひとしおだったことだろう。
「このような(競った)優勝は、あまり無かったと思う。これ(30センチのウィニングパット)を入れれば、成長できるんじゃないか、と思った」。今週の開幕前から“成長できれば…”という言葉を繰り返し口にしていた横峯は、この3ヶ月を「成長するための時期だったのかな」と振り返った。優勝賞金1,440万円を獲得し、トップの諸見里しのぶに約3,000万円差に詰め寄った。先日の賞金女王“白旗宣言”の撤回は聞けなかったが、「勝てるだけ勝てればいいですね」と今後の目標を掲げる。残り10試合、長いトンネルを抜けた横峯が、シーズン前半のような強さを取り戻す可能性は十分にある。