遼、「あっという間」も上出来の1オーバーデビュー
前夜は「とうとうこの日が来たって、一分置きくらいに思っていました」という石川遼。ゴルフを始めた頃から憧れていた「マスターズ」の舞台に、いよいよ立つ日がやってきた。スタート前のパッティンググリーンで、すぐ隣の1番ティから一組前で出るタイガー・ウッズのティショットを背伸びしながら眺めた石川は、「行ってきます!」と告げ、集中した表情で1番ティに向かった。
同組のロリー・マッキロイ(北アイルランド)に緊張しているかと聞いたら、「そんなに緊張してないって言われて、凄いなって(笑)」と、2歳上の落ち着きに驚いたが、PGAデビュー戦となった2月の「ノーザントラストオープン」で経験した緊張と、月曜日にパトロンが取り巻く中で練習ラウンドした経験が、石川の動揺を食い止めた。
1番のティショットは右のバンカー。3打目でグリーンに載せたが、4mのパーパットを外してボギー発進。だが、続く2番パー5の3打目は、ピン奥の傾斜に当てて戻す絶妙なアプローチで楽々バーディを奪い返した。
前半はドライバーショットがぶれて、フェアウェイをキープしたのは9番が初めて。7番では第2打をグリーン奥のバンカーに入れて目玉にすると、「うまくカップに打っても、スピンが掛からずに奥まで行ってしまう。バンカーからカップに打たないっていう決断はほとんど記憶に無い」と、オーガスタの洗礼を受け、ここからピンを向かずに横に出したが、隣のバンカーから寄せワンでボギーにまとめた。
「前半からほんの少しの違いだったけど、真直ぐ行くだろうと信じて素振りをしていました」という石川は、折り返した10番からショットの安定を取り戻す。アーメンコーナーに入った11番では3パットのボギーとしたが、14番では残り139ヤードをPWでピン側2mにピタリとつけてバーディ奪取。続く15番パー5では、2オンを狙って「完璧なショットだった」というが、僅かにグリーンに届かずに池の手前のフェアウェイで止まると、そこから寄せワンで連続バーディ。最終18番も155ヤードの第2打を1mにつけてバーディフィニッシュとし、「39-34」の「73」。前半の3オーバーを1オーバーまで戻して、51位タイで初日を終えた。
「コースに立ったら、あっという間に終わってスコアも悪く無くてラッキーだった」という石川。「もう少しスコアを落してもおかしくないゴルフの内容だった」と振り返ったが、後半に手応えを掴み、予選突破も可能な位置で2日目を迎える。