遼、難コース退治で2週連続の活躍は?
米国男子ツアー「トランジションズ選手権」は15日(木)から18日(日)までの4日間、フロリダ州タンパ近郊のイニスブルックリゾートで行われる。石川遼は開幕前日の14日(水)、プロアマ戦に出場し最終調整した。
4年連続の出場となる石川は、並々ならぬ意欲で今年の大会に臨んでいる。米ツアーのスポット参戦を開始した2009年こそ、米ツアー初の決勝ラウンドに進出を果たした節目のトーナメントとしたものの、その後2年はいずれも予選落ち。10年大会では初日に「83」、12オーバー(パー71)をたたいて最下位でスタートする屈辱も味わった。
警戒するのは数日前に好スコアをマークしてきたコースとの大きな変化だ。単独2位となった前週の「プエルトリコオープン」が行われたトランプインターナショナルGCとは様変わり。「一番違うのはグリーン。転がり方が違う。タッチが非常に大事になる」。見た目だけでは、グリーン上での距離感を把握しにくく、神経を使う。
また、グリーン周りまで広がる粘り気のある深いラフに対して、前週に冴えを見せたショートゲームが通用するかは未知数といっていい。「毎週戦う場所の状況が変わっていくスポーツは珍しい。それぞれに対応しなくてはいけない」。第2打以降、アプローチでなくとも芝の影響で「先週と同じくらいの感じで打っていては届かない」とショットへの影響も危惧。フロリダ州でも屈指とされる工夫が施されたコースレイアウトを攻略するためには、ドライバーから精度の高いショットを求められる。
前週の活躍で周囲の反応にも変化があったことを肌で感じている。だが「こういうのは一瞬だけだと思う。ぼおっとしていたら、置いていかれる。ここからまた(上位に)出て来られなかったら、これでおしまい」と余韻に浸ることは無い。ただ「“サバイバル”というのを感じる。今までは感じたことが無かった」と、ひとつ階段を上ったことで、心をくすぐられる気持ちも生まれた。「危機感があって、居心地が“良くない”。僕はこっちのほうがいい」。最高峰の舞台で生き抜くための、背筋が凍るような焦りや恐怖。それをようやく感じられたことが、喜びでもある。
この日のプロアマ戦後も、日没が迫る中、最後まで練習に勤しんだ。「1ホール、1ホール、冷静にこなしていきたい。いい準備はできたと思う」と言い切り、静かに初日のスタートを待ち望んだ。(フロリダ州タンパ/桂川洋一)