遼、トップと3打差 待望の優勝争いへ
プエルトリコのトランプインターナショナルGCで開催中の「プエルトリコオープン」3日目。7アンダーの3位タイから出た石川遼は6バーディ、3ボギーの「69」。5位タイに後退したが、米国男子ツアー初勝利に向けトップと3打差で最終日に突入する。
好位置でムービングデーを迎えた石川は序盤、最高の滑り出しを見せた。2番(パー5)で2オンに成功し、2メートルを外してイーグルこそ逃したものの、バーディを先行。さらに続く3番で左手前から8メートルを沈めて2連続バーディを決めた。さらに5番(パー5)でもグリーン左からのアプローチをピンに絡めて3つめのバーディ。出だしから流れを掴んだ。
ところが中盤、石川はツキにも見放され、苦しい展開。7番では右ラフからの第2打はフライヤーとなり、グリーンを大きくオーバー。これが茂みの後ろからの第3打を余儀なくされ、4オン1パット。さらに続く8番では、60センチのパットを外して2連続ボギーで後退した。
それでも後半インで再浮上する。12番で1パットパーを拾うと、続く13番で4メートルのバーディパットを沈めた。2日目のショートゲームの好調さはこの日も健在で、15番(パー5)ではグリーン手前の花道からチップインバーディ。さらにこの日、ティが予選ラウンドよりも前方に設置された17番(317ヤード)では、積極策を選び、ドライバーでグリーンオーバー。奥からのアプローチを1メートルにつけてまたもバーディとした。
最終18番(パー5)で右ラフからの第2打を左の1ペナゾーンに打ち込み、ボギーフィニッシュで一歩後退したが、逆転圏内で最終ラウンドを迎える。トップを追う立場でたたいた3ボギーを「上の順位でやっていると痛い。結構グサッと来た」と悔やむ一方で、「ドライバーは3日間で一番良かった。もう少しいいスコアで上がれれば良かったが、内容は良くなってきた。こういう(優勝争いの)チャンスを作っていくことが大事」と言う。反省と手応え。収穫の多い3日間を終え、残りの18ホールでその成果を問われる。
待望のツアー初優勝もちろん、上位進出は石川にとって大きな意味を持つ。近い将来の米ツアー選手を目指す石川だが、現在はツアーメンバーでないため、年間の出場試合数が12試合に限られている。しかし、スポット参戦で稼いだ賞金獲得額が、前年度の賞金ランクで150位に相当する金額に到達した時点で、出場試合数の制限が無くなる「スペシャル・テンポラリーメンバー(STM)」に登録できる権利が生まれ、これを行使すれば来季のシード権(今季の賞金ランクで125位以上の選手が獲得)を狙う上で有利になる。石川は今季ここまで約20万5000ドルを獲得しており、昨年の150位相当に到達するためには、今大会で単独3位以上の戦績を残せば、シーズンを半分以上残した段階で、このSTM登録の権利を手にできる。
だが、そんな皮算用は頭に無い。描くのは初タイトルへの道筋だけ。「最後まで粘ればチャンスはある。焦らずにバック9で勝負したい」。トップから5打差以内に15人という混戦。密集をかき分け、ゴールテープを切る。(プエルトリコ・リオグランデ/桂川洋一)