2012年 プエルトリコオープン

遼、切れ味抜群のショートゲームで優勝争いに加わる

2012/03/10 08:13
16番パー3でチップインバーディを決めた石川遼。ショットに精彩を欠きながらも、スコアを伸ばしたこの日のプレーは大きい

プエルトリコのトランプインターナショナルGCで開催中の米国男子ツアー「プエルトリコオープン」で、石川遼が優勝争いに加わってきた。2アンダーの21位タイから出た2日目、6バーディ、1ボギーで、この日のベストスコアに並ぶ「67」をマーク。単独首位のマット・ジョーンズ(オーストラリア)に4打差の3位タイに浮上して決勝ラウンドを迎える。

この第2ラウンドの石川を支えたのは、アプローチとパッティングだった。インコースからスタートし、出だし4ホールはチャンスに恵まれずパーを並べた。しかし静かな展開は14番で一変。左手前から4メートルを沈めて最初のバーディとすると、続く15番ではティショットを左に大きく曲げながらも、レイアップした後の第3打をピンそば1メートルにつけて2連続。さらに続く16番(パー3)では、グリーン手前の花道からチップインで3連続バーディを決めた。

その後もドライバーを中心としたショットには精彩を欠いたが、2メートル前後のパーパットを次々とカップに沈めていく。後半3つのバーディは、2番で2メートル、4番では10メートル、8番では7メートルを決めたもの。前半15番から最終9番まで、ドライバーでフェアウェイをとらえたホールはゼロ。しかし前後半11ずつ、22のパット数が好スコアに直結した。

グリーン上でも警戒していた風が、この日の午前中は、石川がプエルトリコ入り後一番といっていいほど弱まり「逆にやりにくさがあった」と言う。しかし「朝早いスタートで、風が弱いうちにバーディをいくつか取れたのが良かった」と、芝目を読みやすい状態で迎えたチャンスをものにした。もちろんコンディションに恵まれただけでなく、入念な準備も結果につながった。段の多いグリーンを攻略するため、ボールとカップを結んだ真横から、普段よりも入念に傾斜を読むシーンが目立つ。また、体の重心を一定にしたパッティングを心がけ、打順を待つ際には、片足立ちでの素振りを繰り返して動きを確認している。

上位にしっかりと名を連ね、目標としていた「優勝争いができるポジション」で決勝ラウンドをプレーできる。しかし、今大会は世界ランク上位選手が集う「WGCキャデラック選手権」と同週開催のトーナメントだという意識も心の片隅にあるという。コースコンディションの難度は「世界最高峰だと思う」としながらも「もしキャデラックに出ている選手がここにいたら、いまは20位くらいかもしれない」と浮かれる姿はなく「最終的に目指すものは忘れたくない」と話した。

決勝ラウンドでは、最終組に近ければ近い組でプレーするほど、グリーンの状態もこの日のようにはいかない。仕切り直してからの、さらなるスコアの伸びが必要だ。ラウンド後、普段通りショット練習に励む様子も、そんな心構えがにじみ出た。(プエルトリコ・リオグランデ/桂川洋一)

2012年 プエルトリコオープン