遼、ムービングデーに浮上 11位で最終日へ
カリフォルニア州のトーレパインズGCで開催中の米国男子ツアー第4戦「ファーマーズ・インシュランスオープン」3日目。6アンダーの20位タイから出た石川遼が5バーディ、2ボギーの「69」をマークし、通算9アンダーの11位タイに順位を上げた。
予選ラウンド2日間を充実のゴルフでまとめ、今季初となった決勝ラウンド。石川は出だしの1番でいきなり3パットボギーをたたくものの、その後はショット、パットを修正。6番(パー5)で2メートルを沈めて最初のバーディを奪うと、続く7番では右から5メートルのフックラインを沈めて2連続バーディとした。
8番ではグリーン右奥からのアプローチミスでボギー、しかし続く9番(パー5)できっちりとバーディを取り返す。11番で4メートルを沈めて4つ目のバーディを決めると、最大の見せ場は13番(パー5)。残り237ヤード、左セミラフから2番アイアンでの第2打は、ピンへ一直線。手前のカラーからパターでの3打目は惜しくもはずれ、イーグルこそ逃したが、観衆を大いに湧かせた。
14番以降、ドライバーショットが右に流れ始めたが、第2打以降のリカバリーが奏功。最後までパーを並べる結果となり「しっくり来ないまま、終わったというところもある。もったいなかった」と消化不良に終わった不満ものぞかせたが「全体的にはいいプレー。ひとつでも順位を上げるという最低限のことはできたと思う」と話した。
3日連続「69」にも、順位の変動が激しくなるムービングデーに、自らスコアを動かしたことに一定の手応えがある。昨年、初めて予選を通過したマスターズ。20位タイで迎えた3日目に、プレーに積極性を欠いて後退したことを、約1年が経った今でも悔いている。「(2日目を終えて)優勝をそこから狙う選手がいて、自分もそこを狙える位置にいたにもかかわらず、予選ラウンドと同じ感じでプレーしてしまった。一段階、二段階と、みんながギアを上げている中で、自分は予選ラウンドと同じギアで走ってしまった。その悔しさは今でも鮮明に覚えている」。当時は最終日に挽回し、結局20位でフィニッシュを決めたが、「昨日の夜は、それをすごく考えた。マスターズのときは(2日目終了後の夜に)いろんな人に祝福してもらって、自分でも『ほんとに良かったな』と思ってしまっていた」。この3日目のプレー、そしてそれを戦う心構えは、新たなテーマとなっている。
迎える最終日は、単独首位のカイル・スタンリーとは9打差とひらいているが、2位以下は混戦模様。そして石川は「まだギアはトップに入っていない。14番あたりからドライバーが曲がってパーを獲るのが精一杯、という状況になった。攻めと守り、タイミングを見計らってギアを入れたい」と、アグレッシブなプレーを続ける。4月のマスターズ出場権を確保するために、上位フィニッシュで世界ランクのポイントを稼ぐ、という皮算用は今のところ頭にない。「今はゴルフをやる中で、自分の順位どうこうは考えていない。落ちたら落ちたで、そのときにどう思うか。今考える必要はない」と、あくまで目の前の一打をピンをめがけて放っていく。(カリフォルニア州サンディエゴ/桂川洋一)