2011年 VanaH杯KBCオーガスタゴルフトーナメント

遼、今季初勝利を逃すも生涯獲得賞金5億円を最速突破

2011/08/28 16:28
石川遼は今季初勝利になかなか手が届かないが、賞金ランクは再びトップに浮上した

福岡県の芥屋ゴルフ倶楽部で開催されている、国内男子ツアーの第12戦「VanaH杯KBCオーガスタ」最終日。14アンダーの3位タイから出た石川遼は8バーディ、2ボギーの「66」で回り通算20アンダーまでスコアを伸ばしたが、優勝した韓国のベ・サンムンに2ストローク及ばず2位タイに終わり今季初勝利を逃した。

3日目を終えて首位タイに並んでいたベ・サンムン近藤共弘を3打差から追った最終ラウンド。石川は序盤につまずいた。1番をパーとするが、続く2番からアイアンショットのミスでパーオンを逃し2連続ボギー。「インパクトで肩が詰まってボールにサイドスピンがかかってしまった。ちょっとプレッシャーで硬くなってしまった」。上位に迫るどころか、まだ3ホールを終えたところでべ・サンムンとはいきなり6打差となってしまった。

それでも中盤に得意のバーディラッシュを見せる。5番からだ。右奥4メートルのバーディパットがカップの周りをクルリと回ってコロンと音を立てると、続く6番(パー5)では第2打をグリーンの奥ラフまで運んで3オン1パット。さらに7番では6メートルのフックラインを沈めて3連続バーディを決めた。さらに折り返しの9番(パー5)では2オンさせてきっちりと4つ目のバーディ。16アンダーまで伸ばして後半へ突入した。

インも13番から3連続バーディ、17番(パー3)では7メートルを沈めて8つ目のバーディを奪った。しかしトップに2打差で迎えた最終ホールではグリーン右ラフのアプローチでイーグルを狙ったが、ボールは無情にもカップの脇をすり抜けて万事休す。結局最後まで首位をとらえることができなかった。

それでも酷暑の中のラウンドを終えると「やりきった感じです」と流れる汗をぬぐった。前日に逆転のためには「ミラクルが必要」としていた石川は、4つのパー5でイーグルこそ逃したが、粘り強くバーディを重ねて「(5番以降で)12アンダーから8つ伸ばすことができた。流れ的に難しいところから20アンダーを目指して頑張ろうとして、それができた」と充実感を漂わせた。

今季初優勝はまたもお預け。しかし2位タイの成績を残したことで924万円を獲得し、賞金ランキングトップに再び躍り出た。また生涯獲得賞金は5億円を突破し、19歳11か月10日の若さでの達成は丸山茂樹の29歳2カ月10日(1998年)を大幅に塗り替えて最年少記録。また、97試合目での達成(4大メジャー、WGCを含む)はブライアン・ワッツの115試合目(1998年)も更新し最速記録となった。

今週テーマに掲げていた「躍動感」についても「良かったと思う」。両サイドのOBや林のプレッシャーがかかるホールでも、置きにいくことなく、ドライバーを振り抜けたことに納得の表情。次週は3連覇のかかる「フジサンケイクラシック」を迎え、後半戦は2年ぶりの賞金王奪還に向けて重要なビッグトーナメントが目白押し。「出場するトーナメントはすべ必ず優勝争いできるようにしたい。続けていけばいずれは優勝できると思う」と、さらなる上昇への自信をつかんで前を見た。(福岡県糸島市/桂川洋一)

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