遼、逆転賞金王には届かず
2010/12/05 17:35
東京よみうりカントリークラブの最終18番ホール、ティグラウンドに立つと、選手に対して夕陽が正面から照りつける。それは、ショットを打った選手でさえ、その球がどこに落ちたか判別するのが難しい程だ。
「ゴルフ日本シリーズJTカップ」最終日、今年最後の17ホールのプレーを終えた石川は、前半6ホールで5バーディを奪うなど逆転優勝へ向けて奮闘を続けたが、やはり8打差を逆転するのは容易ではない。それでも16番、17番と連続バーディを奪い、ここ18番のティショットもピンそば1mにぴたりとつけた。
その瞬間、グリーンを取り巻いた大ギャラリーから大歓声が沸き起こる。「あれだけ沢山の歓声が、どれだけ良いショットだったのか、どれだけ近くについたのかを教えてくれた。もしギャラリーが一人も居なかったら乗ったのも分からないので、歓声に対してありがとうございましたと言いました」と、石川は帽子を持ち上げて返礼した。
逆転賞金王には届かなかったが、この日6つスコアを伸ばした石川は通算9アンダーの7位タイでホールアウト。初日に6オーバーと出遅れた後に、残り3日で15個縮めるのは“夢”と語った石川だが、その夢を最後のバーディで現実のものとした。
昨年の賞金王として戦い続けた1年間。賞金ランキング3位に終わった2010年の自己評価を聞かれると、「ゴルフファンが何人いるか分からないけど、一人一人に感想を聞きたいです。それ位、これで良かったのかなという想いと、期待に応えられなかったという想いがある」と石川。最終ホールで送られた温かい拍手と歓声が、今も石川の耳に残っているかのようだった。