遼、1打及ばず2年連続の予選落ち
18番のティグラウンドに立った石川遼が見たのは、前方のフェアウェイで第2打を打とうとする前組の選手たち。予選通過のかかった「マスターズ」2日目、難しいピンポジションと速いグリーンを前にプレーの進行スピードは遅くなり、上がり数ホールは毎ショット、待つことを強いられた。
「1打1打考える時間があって、その時間が結構辛かったです。考えれば考えるほど体が硬くなって、18番のティショットが一番緊張しました」と石川。このショットを左に引っ掛けて林の中へ。アイアンでフェアウェイに戻し、3打目はピン下5mへとつけた。17番を終えた時点で通算3オーバー。「入れば予選通過、外せば落ちる、というのは知っていました」。絶妙なタッチで打ったパーパットは、狙い通りのスピードでカップに向かっていったが、スライスすると思った最後にそのままカップの左をすり抜けた。
昨年とは違い、足りなかったのは僅かに1打。その代わり、昨年味わうことの無かった緊張感が石川を襲っていた。「何をどう考えれば良いのか分からなかったし、体が燃えるように熱くなって、息もしにくい状態でした」。終盤5ホール、石川が戦っていた相手は目の前のオーガスタではなく、自分の心の中に居た。
1年前に未熟さを味わった16番パー3。今年もほぼ同じ位置に切られたピンを狙い通りのフェードで攻めたが、ピンの左4mに落ちると、するすると池に向かって転がり落ちた。直前に打った同組のアンソニー・キムの球は、ピンそば50cmにぴたり。「キムの3~4m左に行ったけど、この4mという幅は果てしなく遠いと思いました」。段下からのファーストパットを2mショートしての3パット。打ち切れないパットに石川の動揺が現れていた。
2日間を通算4オーバー49位タイで終えた石川。「最後の数ホールで今まで悪かったところが全部出てしまった。自分は頑張ってきたつもりだったけど、結果を残して頑張ったと言いたかった。応援してくださった皆さん、常に支えてくれたチームの人たち、日本で朝早くから応援してくれた皆さんに本当に申し訳ない」と、堪え切れずに涙をこぼした。
ゴルフ人生はこの先も続いていく。石川の新しい1年が、また今日から始まった。