石川遼がまた快挙!世界最年少賞金王に輝く
最終18番グリーンを取り巻いたギャラリーは、ざっと7,000人。石川遼が、4Iで放ったティショットがピンの右3mにぴたりと着くと、「歓声というか、地響き。凄い迫力でした」と、その瞬間を待ちわびる大ギャラリーの興奮はピークに達した。
一組後ろで回る池田勇太とは、4ストロークの差がついており、1ホールでの逆転は不可能。石川が2パットのパーでホールアウトすると、再び大きな拍手が沸き起こった。「あれだけ大きな拍手が貰えるとは思ってなくて、かなりこみ上げてくるものがありましたね」。
1973年にジャンボ尾崎が記録した26歳を大幅に上回る18歳での賞金王獲得。海外ツアーを見ても、ヨーロピアンツアーで1976年にセベ・バレステロス、2000年にオーストラレイジアPGAツアーでアーロン・バデリーが記録した19歳を上回る、世界最年少での賞金王誕生の瞬間だった。「全米プロ」から今大会まで17週に渡る連戦。「18番をホールアウトして、一気に体が重くなった感じがした」と、張り詰めていた緊張からも、ようやく解き放たれた。
「感無量です。今まで自分が塗り替えてきた記録に比べて、実感はあります」と、数ヶ月の思いの果てに掴んだ賞金王のタイトルはやはり格別のようだ。それでも、会見の最後では、拍手で祝う記者達を制し、「優勝したわけじゃないので」と舞い上がることは無かった。
参戦2年目にして早くも国内ツアーの頂点に立った石川。厳しい競争を勝ち抜いて賞金王になれた要因は「ゴルフファンの皆さん。あれだけの応援は僕にとっては大きな宝物です」と石川は言う。「ファンと僕の戦いというか、気持ちに応えようとするものがかなりあったと思う」と続けた。
小学生の頃の石川は、プロで活躍する自分を夢想し漫画を描いていたという。「こうなったら凄いなっていう漫画を描いていたけど、それすらも超えてしまった感じです」と、現実は自らの想像を上回る。「一時も忘れたことがない」という来年のマスターズ出場も確実なものとし、マスターズ制覇の究極目標にも、また一歩近づいた。