遼、大願成就の2オン達成で魅せた、笑った!
国内男子ツアー「フジサンケイクラシック」初日は濃霧の影響により30分遅れのスタートとなり、石川遼は午後12時50分に10番からティオフ。日暮れが迫る中、無事に18ホールを完走し、2アンダーの暫定4位タイと好スタートを切った。
片山晋呉、丸山茂樹との超豪華な組み合わせとなり、「自分が10年くらいやってきたゴルフの中で、大きな思い出になりました」と石川。その中で、「この1年の思い出に残ると思う」というビッグプレーが飛び出した。石川が25回を超えるラウンド経験の中で、まだ1度も2オンしたことがなかったという富士桜の3番、570ヤードのパー5。昨年大会では4日間すべて“直ドラ”でグリーンを狙うも、ことごとく失敗。「来年に持ち越したくない」と、開幕前から強いこだわりを口にしていたホールだ。
風は1.5メートル程のフォロー。「最高のコンディションだった」と振り返る中、ティショットはフェアウェイセンターへ。2打目はエッジまで残り285ヤード、手にしたのは3番ウッド。フルスイングから放たれたボールはピン右20メートルに乗り、「(喜びを)なるべく内に秘めておこうと思ったけど、つい出てしまった」と、右手を握り締めて小さくガッツポーズを見せ、天を仰ぎ、しばらく笑顔が止むことはなかった。イーグルパットは惜しくもカップに蹴られて膝を落としたが、何よりも自身の成長を強く実感したはずだ。
さらに石川が「自分の成長がゴルフに表れていた」と振り返るのが、7番パー3のパーセーブだ。グリーン左サイドには池が広がり、右サイドにはガードバンカー。グリーンは右から左に下り傾斜となっており、右のバンカーに入れるとボギーも危うい。石川はティショットを右バンカーに打ち込み、アプローチはピンを3メートルオーバーするピンチを迎えたが、このパーパットを捻じ込んでのパーセーブだった。「ああいう、しぶといパーは大事だと感じながら今年はプレーしている」。派手さだけではない、ピンチをパーで凌ぐ崩れないゴルフが、まさに今年の活躍に繋がっている。この日は、今年の石川の急成長を凝縮したような、象徴的なラウンドとなった。