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中長尺パター論争 藤田、石川、片山の目

R&A、USGAが28日(水)、長尺や中尺パターに関する問題で新ルールを提案した。これは一般的なパターよりも長いクラブを規制するものではなく、クラブのグリップエンドなどを手ではなく体に直接固定すること、または片方の手を胸部など体に密着させて間接的に固定するストローク方法(アンカーリング)を禁止にする方向性を示したものだ。

昨年の「全米プロゴルフ選手権」でキーガン・ブラッドリーが中尺パターを使う選手として初めてメジャーを制したことが大きな発端のひとつとなったこの論争。その後もウェブ・シンプソンが「全米オープン」を、アーニー・エルスが「全英オープン」を制すなど立て続けに“中尺旋風”が巻き起こったこともあり、規制への流れは一気に加速した。ちなみに、先月タイで行われた「アジアパシフィックアマチュア選手権」で優勝した14歳のグァン・ティンラン(中国)も中尺。R&Aのトップ、ピーター・ドーソン氏は「若年層の選手が使うのは・・・」と、苦言を呈していた。

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世界のゴルフルールをリードする両機関は、今回の声明を“提案”とし、今後も検討を続けて2016年1月のルール改正に盛り込む意向。既に全米プロゴルフ協会などは、疑問の声も発しており、今後の動きも注目される。

そして、日本ツアーを戦う選手たちの反応も様々だった。賞金王戴冠が目前に迫る藤田寛之はショートゲームこそが生命線。これまで長いパターの使用を考えたことは無いという。「統一したルールということについて考えれば、(アンカーリングは)外れていると思う。いつか(ルールに)引っかかるのではと思っていた」。ロングパターの試打の経験はあり「確かに思ったところには打ちやすいと。“理科の実験”みたいな感じ。何も考えずにヘッドの重さで、パターが自動でやってくれる」と指摘した。

石川遼の私見は、多くのアベレージゴルファーの“本音”も表していそうだ。「僕は単純に中尺、長尺よりも、短尺のほうが“カッコイイ”と思うから使っている」。練習グリーンで中尺を使用することはあるが、あくまでストローク矯正のため。「使ったからといって、入るとは思わない。使いこなすには、また努力が必要だと思うから。(中尺を使う選手が)勝っているという理由から規制されるのも・・・。中、長尺を使っている人々へのリスペクトがあるのかなとも思う」と疑問も浮かべた。

ところで様々な見解がある中で、片山晋呉は一歩先に進んでいた。シーズン中、あらゆるクラブとパッティングスタイルを模索する永久シード権保持者は「ずっと話題になっていたから、いずれ禁止に、ルールになると思っていた」と今季初めから長尺、中尺パターを握っても、体に接着させるストロークを自ら止めていた。

アンカーリングの効果についてはこうだ。「気持ちが楽なんですよ。パッティングって、本当は“靴ひも”を結ぶ(複雑な手の)動きより簡単でしょう。でも、あんなに簡単なものが、いかに難しくなるかってことなんだ。でも(体に)支点を作ることで、その負担を減らせられるわけ。俺は両方やったから分かるよ。入る、入らないじゃなくて、気持ちの問題」。そして「逆に言えば、もっと早く禁止にしておくべきだったかもしれない。世界ランキングも、シニアのツアーも大きく様変わりしてしまうだろうね」と懸念する。

さらにもうひとつ。片山が指摘した点は、この規制が施行された以降の話。そのルール違反を見極める事態になった時のことだ。「“お先”なんてときに(同伴競技者が)『あれ?いま、(体に)触れたんじゃないの?』とか、クレームも出るだろう。選手同士もそうだし、テレビを見ている人からだって」と付随するトラブルを考える。「『おれはつけてない、ジャンバーに付いただけだよ!』とか言い争ったり、そういう問題も考えないと」。今回の提案で改めて方向性は打ち出されたが、検討課題は依然、少なくはなさそうだ。(東京都稲城市/桂川洋一)

桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール

1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw

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