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【WORLD】M.エブリーの“ドデカパター”で慣性モーメント論争が再熱

Golf World(2012年1月30日号)GW bunker texted by E.Michael Johnson

インパクトの“ねじれ”を減少させるためのクラブの慣性モーメント増は良いこととされる。しかしパターにおいては、慣性モーメントが一定の度合いを超えると、そこまでの恩恵を受けなくなると信じる人も少なくない。

「ソニーオープンinハワイ」でマット・エブリーが、 “棒の先にホテルがついている”と表現されるような(ヘッドの大きい)パターを使い、人々が「なんてクラブだ」「なぜツアープロがあんな道具を使っているのか」と首をかしげた。

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これが一体“What(何)”か、はシンプルだ。オリオンゴルフと呼ばれるメーカーが作ったブラックホークというパターである。しかしながら、このパターに関する“Why(なぜ)”については、もう少し複雑だ。

ブラックホークの慣性モーメント(MOI)は21,000もある。これはスピードを意味しているのではない。この数字は、エブリーのパターヘッドのサイズから考えると、怪物のようなものだ。慣性モーメントは、物理的特性で、ボールに当たった時のねじれに対するクラブヘッドの抵抗を数字で表すもの。つまりこの数字が大きければ(ミスヒットによる)影響をそれほど受けないということだ。しかし慣性モーメントが1万に届くパターは世の中に数本しかない。ところがエブリーのパターは2万もあるのだ。

ブレードタイプのパター(ジャック・ニクラスが1986年マスターズで優勝した時に使用していたマグレガーのレスポンスのようなモデル)でも、高慣性モーメントを得られるが、それが大きいのは、たいていマレット型だ。

2004年、ピンはフェイス長さが6.7インチもある大きな半円型をしたDoc17というマレットパターを発売。このパターの慣性モーメントは1万近くだった。そしてこのパターで、ミゲル・アンヘル・ヒメネスが欧州ツアーの「ジョニーウォーカークラシック」(2004年)で優勝。2007年の「全米女子プロ」ではスーザン・ペターセンが、このモデルよりやや小さめのDoc15を使用し勝利するなど、いくつかの成功を収めている。しかし、このクラブはその後、ツアープロによって長い間使われることはなくなった。

「高慣性モーメントのパターはとても安定しているし、ミスヒットしても出足がぶれずスピードも一定する」と言うのはピンの製品デザイン・ディレクターのブラッド・シュウェイガー氏。「大きな慣性は、同時にプレーヤーがインパクトにおいて一定のフェースアングルを得やすくしてくれる。フェースアングルがローテーションするにはより大きな力が必要になるのだ。つまり、パター自身が振られているフィーリングをより得やすい」。

パターは見た目とストロークタイプがそのプレーヤーに合っていれば、不都合なことは少ない。しかしパッティングは、90%がメンタルと言われており、見た目や形、ホーゼルの位置が心地よいものであると感じないと、プレーヤーは苦戦することになる。

「(以前に比べて)プレーヤーは変わった見た目に対してオープンになった」とGolf Worldに昨年語ったのはチャールズ・ハウエルIII。「プロたちは、パターは見た目重視でデザインするという点を乗り越えている。求められているのはカップインできるパターだ」。

しかしながら、ナイキの製品開発ディレクターのトム・スタイツによれば、慣性モーメントが大きすぎるパターは「やり過ぎ」になる可能性があるという。「ドライバーのように、慣性モーメントの増大が逆効果になるポイントがある。以前、慣性モーメントが23,000もあるパターをデザインしてみたけど、いいものとは言えなかった。スクエアに戻すのが大変になってしまうんだ。慣性モーメント13,000~14,000くらいが目指すべきところだと思う。18,000でも多すぎるだろう。コレステロールのように善玉と悪玉があるんだよ」。

スタイツの立場から言うと、最高のパフォーマンスは(プレーヤーではなく)パター自身に求められる。「(パターは)ドライバーのように打つわけではない。パットでは半インチ、あるいは3/4インチも芯を外すミスをしたりはしない。パッティングにおいては、1/4インチのミスは大きいものだ。力いっぱいボールを打つこともない。特別なことは必要ないのだ。過大すぎない高慣性モーメントのパターが、よりカップインを助長するのだ」。

そして、それがすべてのゴルファーが歓迎する簡素化なのだ。

米国ゴルフダイジェスト社提携
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