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<選手名鑑234>パトリック・カントレー(下)

■一世風靡のアマチュア時代 アマ世界王者に55週

通算55週、アマ世界王者に君臨したP.カ 通算55週、アマ世界王者に君臨したP.カントレー(Mike Lawrie/Getty Images)

パトリック・カントレー(25)は大学時代、アマチュアとしてはジョーダン・スピースジャスティン・トーマス以上に期待された選手だった。2009年、当時17歳で、カリフォルニア州アマ選手権で優勝。地元カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)に進学し、ゴルフ部で腕を磨いた。11年6月には、コングレッショナルGCで開催された全米オープンでローアマチュアに輝き、18番グリーンの表彰式では、優勝者で3歳上のロリー・マキロイと並んだ。2人はその時が初対面だったが、すぐに打ち解け談笑。その姿は、未来のゴルフ界をイメージする象徴的なシーンだった。

ローアマになったことでスポンサー推薦を受け、翌週のPGAツアー、トラベラーズ選手権に出場した。2日目に「60」をマークして、トーナメント記録の「61」を更新。「60」はPGAツアー史上アマチュアが記録した最少スコアで、現在も破られていない。その後も活躍は続き、カナディアンオープンで9位タイ。同年にPGAツアーで残した平均ストロークは「69.26」でツアー2位に相当したが、カントレーはメンバーではなく、ランク対象外だった。

世界アマチュアランクでは1位を54週継続、通算55週を記録した。プロ転向でホン・ラームに譲るまで、1年3週にわたってアマチュア界の王者として君臨し続けた。学生最高の選手に与えられるジャック・ニクラス・アワードも受賞。12年マスターズでは、松山英樹とのローアマ争いに競り勝ち、タイトルを獲得した。6月の全米オープン後にプロ転向。絶対王者がプロでどう羽ばたくか?と話題を独占した。

■祖父と父のゴルフ愛を受け継いで…

パトリック・カントレーは1992年3月17日、カリフォルニア州ロングビーチで生まれた。弟ニック、妹カロライン、弟ジャックの4人兄弟の長男として育った。父スティーブ、母コリーンは、南カリフォルニア大学(USC)、父方祖母はUCLA卒業とカリフォルニアにゆかりある家系だ。祖父と父スティーブは、メンバーのウィルシャーCCとヴァージニアCC(ロングビーチ)でクラブチャンピオンに2度なった腕前だ。あふれるゴルフ愛を受け継ぎ、3歳からプレーをはじめた。部屋でもクラブを振りたがるので、母はその度に、家に1室ある天井の高い部屋に連れていったそうだ。

学業、スポーツともに優れ、1958年に創立された地元の名門カトリック系男子校のサーバイト高校に進学し、ゴルフ部に所属した。成績は“3.8”と優秀で、校内NO.1アスリートにも選出された。同校はフットボール部の強豪校で知られるが、カントレーは彼らをしのぐ活躍でスター選手となった。週に6日プレーし、全米オープン(2010年ペブルビーチ開催)予選会通過を目標としたが、残念ながら夢を叶えることはできなかった。それでも高校ゴルフ部コーチであるダン・ジャコは、「マスターズ出場が叶ったらパー3コンテストでキャディがしたい」と本気で話したほど、メジャーに出場できる実力が、カントレーにはあると評価していた。実際、翌11年には全米オープン、2年後の12年にはマスターズでローアマチュアを獲得。父スティーブには「どのように育てたのか?」と、取材が殺到したほどだった。

■プラダを着たコーチ ジェイミー・マリガン

カントレーは小学校の頃から、父がメンバーであるヴァージニアCCに同行するようになり、当時レッスンプロをしていたジェイミー・マリガン(53)に出会った。マリガンはポール・ゴイドス、ジョン・マリンジャー、ジョン・メリック、ピーター・トマスロ、そして現在チャンピオンズツアーで活躍するツアー11勝のジョン・クックらのコーチとして知られる。彼らはマリガン所属の同コースで練習することが多く、カントレーも練習にも加わるなど選手たちと交流し、多くの体験談を聞きながら腕を上げた。

練習グリーンで真剣勝負をすると現役選手に勝つこともあり、周囲を驚かせる少年時代だった。マリガンは10年ほど前に「パトリックはスコアをうまくまとめてくる。パットやショートゲームは素晴らしいイマジネーションを持っている。きちんと体づくりをすれば飛距離も伸びる。今は大切なプロセスで、上手くいけば将来が楽しみな選手になる」と語っている。そして、それは現実のものとなった。

マリガンは熱血指導ゆえ“炎のコーチ”と言われる。またおしゃれでスタイリッシュなコーチとしても知られ、黒のポルシェ・カイエンに乗り、時に移動手段はスケートボードを使う。プラダを着こなし、週4回はサーフィンも楽しみ、饒舌で楽しい人柄だ。スライス改善のドリルには、テニスのラファエル・ナダルのテクニックを応用するなどユニークな指導でも知られる。ロングビーチ州立大学ゴルフ部出身で、ゴイドスとはチームメイトだった。マリガンは少年時代から、選手ではなくコーチを目指し、ゴルフを学んできた。鋭い眼力や洞察力で、多くの素晴らしい選手を誕生させた。カントレーとは、一見、対照的な師弟だが、本質は同じ“熱血漢”。プロとして本格的な歩みを始めたカントレーを全力でバックアップしている。

佐渡充高(さどみつたか)
ゴルフジャーナリスト。1957年生まれ。上智大学卒。大学時代はゴルフ部に所属しキャプテンを務める。3、4年生の時に太平洋クラブマスターズで当時4年連続賞金王に輝いたトム・ワトソンのキャディーを務める。東京中日スポーツ新聞社を経て85年に渡米、ニューヨークを拠点に世界のゴルフを取材。米国ゴルフ記者協会会員、ゴルフマガジン「世界トップ100コース」選考委員会国際評議委員。元世界ゴルフ殿堂選考委員。91年からNHK米ゴルフツアー放送ゴルフ解説者。現在は日本を拠点に世界のゴルフを取材、講演などに飛び回る。

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