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期間:02/16~02/19  場所: リビエラCC(カリフォルニア州)

<選手名鑑227>ルーク・リスト

■“影の飛ばし屋”ルーク・リスト

“影の飛ばし屋”と称されるルーク・リストはどんな人…?(Minas Panagiotakis/Getty Images)

PGAツアーのビッグヒッターは?と聞かれたら、まず思い浮かぶ選手はバッバ・ワトソンダスティン・ジョンソンJ.B.ホームズトニー・フィナウだろう。だが、彼らに匹敵する選手がもう一人、ルーク・リスト(32)だ。松山英樹が優勝した2月のフェニックスオープン時点でのランキングは、平均飛距離317ydで2位。1位のダスティン・ジョンソンとわずか1ヤード差で、ツアーの豪打リストに忘れず加えるべき注目選手だ。

これまでリストがプレーしてきた各ツアーでも、彼は平均飛距離上位の常連だ。2012年のウェブドットコムツアーに参加し、平均飛距離314ydでランク5位。翌12年には316.3ydでランク1位になった。彼の名が轟いたのはその翌年のこと。リストは同ツアーの賞金ランク4位となり、13年シーズンはルーキーとしてPGAツアーにフル参戦した。平均飛距離でワトソンやジョンソン、ロバート・ガリガスを上回り、306ydでランク1位に輝いた(2位はジョンソン)。同年リストは飛距離王者にはなったが、シード権を維持できず、14年は再びウェブドットコムツアーへ舞い戻りプレー。それでも飛距離は健在で、316.3ydでランク1位。15年シーズンは316.7ydで4位だった。16年は再びPGAツアーでプレーし、平均飛距離306.7ydで7位と、正真正銘のビッグヒッターだ。その認知度がイマイチなのは未勝利ゆえ。飛ばしのポテンシャルを生かし、活躍まであと少し。Luke Listのイニシャルのごとく、飛距離“LL”サイズのパワフルショットは注目を集めるだろう。

■水泳で培ったしなやかボディ

リストは188cm、82kgで、しなやかなボディを駆使しぶっ飛ばす。その理由は水泳ファミリーに育ったことにある。父親マークと母親ボニーはノースカロライナ大学で水泳選手として活躍し、オールアメリカンにも選出された。母はパンパシフィック選手権の金メダリストで米国水泳界の殿堂入りも果たしている著名スイマーなのだ。リストは1895年1月14日、ワシントン州シアトルで誕生した。両親の影響で子供の頃から水泳をはじめ、姉ベッカ、妹サーラと一緒にプールで練習を積む日々。しかし彼は、姉や妹のように1日2回、数時間に及んだ練習が長すぎることを嫌がった。他に楽しいスポーツはないか?と思っていたところ、出会ったのがゴルフだった。ゴルフの練習は楽しくてたまらず、メインスポーツを水泳からゴルフに変えることにした。姉はホワイトウォース大学でゴルフ部と水泳部に所属、妹はノースカロライナ大学水泳部で活躍した。リストはゴルフ1本に絞り、活躍を目指した。

ゴルフを始めると大嫌いだった水泳の練習で培われた柔軟な筋肉が、彼を後押しした。ジュニア時代から、飛ばそうと意識しなくても他選手より飛距離があり、それがアドバンテージとなっていったのだ。リストはそれを実感し、今はゴルフのために水泳の練習を積極的に行っている。水泳はリハビリで取り入れる選手が多かったが、負傷のリスクが少ないと、ダスティン・ジョンソンをはじめ、トレーニングの定番メニューに加える選手が増えている。

■アマチュアでマスターズ初出場 33位

リストはテネシー州のバンダービルト大学に進学。先輩にはツアー8勝のブラント・スネデガーらがいる。リストは同大学で勉学とゴルフともに優れ、アカデミックオールアメリカンに2回も選出された。学生時代のハイライトは全米アマチュア選手権2位と、マスターズへの出場だった。

04年、ニューヨーク州の超名門ウィングドフットGCで開催された全米アマ選手権で決勝に進出した。決勝の相手は、のちにアマ記録を塗り替えたライアン・ムーアだった。激戦の末、リストは2ダウンで敗れ2位。ムーアはその年ウェスタンアマ選手権、全米学生選手権、パブリックリンクス選手権で優勝を飾り、アマの年間4大メジャータイトルを獲得して、ジャック・ニクラスタイガー・ウッズでも達成できなかった大記録を樹立した。

リストは、ムーアの目覚ましい活躍とは対称的で、地味な印象は否めなかった。2位に敗れたとはいえ、全米アマ選手権決勝進出者に与えられる翌年のマスターズ出場権を獲得。初めてのオーガスタ・ナショナルGCで伸び伸びとプレーした。母がキャディとなり参加したパー3コンテストではホールインワンを達成。初出場で予選通過を果たし、33位と大健闘した。

■ブレイク間近!飛距離効果で今季自己ベスト2位、イーグルランク1位

悲喜こもごもの数年を過ごしたリスト。2年前の夏、父マーク、高校時代の恩師が相次いで急逝した。ゴルフも混乱し、スイングを変え、負傷にも苦しんだ。そして昨年3月に結婚。気持ち・環境ともに変化が訪れ、今季のリストはいよいよ殻(から)を破りそうな予感がする。飛距離という彼の最大のアドバンテージが成績に結びつきはじめたのだ。

今季序盤、16年10月に行われたサンダーソンファームズ選手権では自己ベストの2位。昨年1月のキャリアビルダーで記録した自己ベスト6位を更新し、優勝争いに加わるようになった。11月のOHLマヤコバでは7位と、今季既にトップ10入り2度。変貌の理由は、パー5での攻略が大きく進化していることにある。今季パー5での平均スコアは4.13でランク2位。バーディより良いスコアの確率は70%でランク3位。そのうちイーグル奪取は6回でランク1位と、大躍進の雰囲気を醸しだしている。彼のダイナミックなプレーは魅力満点。飛距離リストだけでなく、優勝候補リストにも名が挙がる活躍を期待している。

佐渡充高(さどみつたか)
ゴルフジャーナリスト。1957年生まれ。上智大学卒。大学時代はゴルフ部に所属しキャプテンを務める。3、4年生の時に太平洋クラブマスターズで当時4年連続賞金王に輝いたトム・ワトソンのキャディーを務める。東京中日スポーツ新聞社を経て85年に渡米、ニューヨークを拠点に世界のゴルフを取材。米国ゴルフ記者協会会員、ゴルフマガジン「世界トップ100コース」選考委員会国際評議委員。元世界ゴルフ殿堂選考委員。91年からNHK米ゴルフツアー放送ゴルフ解説者。現在は日本を拠点に世界のゴルフを取材、講演などに飛び回る。

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