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<選手名鑑222>PGAツアー4代目コミッショナー ジェイ・モナハン(後編)

■人生初の仕事 ブラッド・ファクソンのマネージャー

2015年「ザ・プレーヤーズ選手権」に初 2015年「ザ・プレーヤーズ選手権」に初出場した石川遼との記念写真に納まるジェイ・モナハン (Stan Badz/PGA TOUR)

1995年に大学を卒業しIMG社に就職。ツアープロのマネジメント担当になり、その一人が9歳上のブラッド・ファクソンだった。ファクソンはパットの名手でツアー9勝、選手会長も務めた信頼の厚い選手。ニュージャージー州生まれ、ロードアイランド州在住の生粋の“ニューイングランダー”だ。ニューイングランダーとは米国北東部メーン、コネチカット、ロードアイランド州など6州にゆかりある人たちのことだ。マサチューセッツ州ボストン出身のモナハンもニューイングランダーで意気投合。ファクソンとの交流で選手視線からツアーを学んでいった。モナハンは3年でIMGを離職するが、その後、再びファクソンと大仕事をすることになる。

■30歳のタフ・ネゴシエーター PGAツアー、パーマー、ウッズを動かした情熱

フェンウェイ・スポーツ・グループに移籍。同社は大リークのボストンレッドソックスや英国プレミアリーグ・サッカーのリバプールFCの親会社。当時30歳の才気あふれるモナハンにボストンでのPGAツアー開催という大仕事が任された。ボストンは米国でもゴルフ史が長く名門コースも多数。マサチューセッツ州では1969年から98年までマサチューセッツ・クラシックやニューイングランド・クラシックなど名称を変え大会が開催されていたが、開催地はボストンではなく西へ260キロ以上も離れたウースターという町だった。

モナハンは故郷愛もあり、エグゼクティブ・ディレクターとして奔走した。成功には相応しいコースが必要だと、PGAツアーに協力を要請。設計はアーノルド・パーマーに依頼し戦略性に富んだコース「TPC ボストン」の着工にこぎつけた。新大会のホスト役は全盛期のタイガー・ウッズ、冠スポンサーはドイツバンクと、次々に大物と契約。2002年にコースは完成し、翌03年に第1回大会を実現させた彼の実力とスピード感に驚いた。現在「ドイツバンク選手権」は、年間王者を決める重要な試合になっている。

■ウッズ成功の立役者 3年でチャリティ5億円へ

PGAツアーを率いていくモナハン(Chr PGAツアーを率いていくモナハン(Chris Condon/PGA TOUR)

新設試合の立ち上げだけでも賞賛に値するが、わずか3年でウッズ基金に450万ドル(約5億円)を寄贈できるまでに育て上げ、モナハンはウッズを「男」にしたのだ。この出来事に多くの選手も驚き、絶大な信頼と評価を得た。2007年から始まったプレーオフシリーズでは4試合中2戦目の重要な試合となり、コースのアップグレードが必要になった。そこで改修を依頼したのがブラッド・ファクソンだった。ラフにフェスキュー芝などを付加し、より荒々しく力強い雰囲気を醸し出し、メジャー級フィールドの選手たちが競うにふさわしいゴルフ場へと生まれ変わった。

その後、広告代理店に転職し、タイトリスト、フットジョイなどゴルフ関連企業の世界戦略で活躍。またIT関連のEMC社ではスポーツイベントと協力し、スポンサーシップの基本を構築した。ゴルフではEMCスキルス・チャレンジ、EMC欧州スキルス・チャレンジ、EMCワールドカップなどの設立に助力。トヨタF1、ボストン交響楽団などゴルフ以外のイベントでも活躍した。モナハンはトーナメントやイベント成功のツボを熟知した敏腕プロデューサーでもあった。

■4代目はクリエーター!?

機は熟し、モナハンは2008年6月、38歳で PGAツアーへ移籍。早々にツアーのフラッグシップ大会である「ザ・プレーヤーズ選手権」の実質的責任者になった。毎年ユニークなファンサービスを考案、実現し盛り上げている。14年4月1日の副コミッショナー就任後はツアーの重要な決断に携わり、昨年から最高執行責任者(COO)も兼任。有言実行、多彩なアイデア、行動力、リーダーシップで、コミッショナー就任は時間の問題だった。

初代コミッショナーのジョー・デイはPGA of Americaからの独立、トーナメントの開設に尽力。2代目ディーン・ビーマンは元選手で、冠スポンサー名を大会にするなど企業との協力で試合の規模拡大や、TPCソーグラス開場とフラッグシップ大会の創設を成し遂げた。3代目フィンチャム氏は元弁護士でカーター元大統領の政策顧問。プレジデンツカップや世界選手権の新設に加え、22年間で賞金総額を6倍以上にし、世界最大規模へと成長させた。歴代リーダーたちの実績は、彼ら自身のキャリアが色濃く反映されている。4代目モナハンは丹精込めて築き上げられた骨組みに、さまざまな経験を生かし、魅力的なデザインと色彩を加えるクリエーター的な役割も担う。

そんなモナハンの活力源は妻スーザンと二人の娘ソフィーとフォーブである。

佐渡充高(さどみつたか)
ゴルフジャーナリスト。1957年生まれ。上智大学卒。大学時代はゴルフ部に所属しキャプテンを務める。3、4年生の時に太平洋クラブマスターズで当時4年連続賞金王に輝いたトム・ワトソンのキャディーを務める。東京中日スポーツ新聞社を経て85年に渡米、ニューヨークを拠点に世界のゴルフを取材。米国ゴルフ記者協会会員、ゴルフマガジン「世界トップ100コース」選考委員会国際評議委員。元世界ゴルフ殿堂選考委員。91年からNHK米ゴルフツアー放送ゴルフ解説者。現在は日本を拠点に世界のゴルフを取材、講演などに飛び回る。

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