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ザ・メモリアルトーナメント
期間:06/02~06/05  場所: ミュアフィールドビレッジGC(オハイオ州)

<選手名鑑202>セルヒオ・ガルシア

PGAツアー9勝を挙げているスペインのセルヒオ・ガルシア

■ 優勝に思わず安堵

2週前のAT&Tバイロン・ネルソン選手権でPGAツアー9勝目を飾ったスペインのセルヒオ・ガルシア(36)は、「どのような勝ち方でも優勝は本当に嬉しい」と手放しで喜んだ。14番パー4でボギーにした時は、首位のケプカに3打差をつけられ優勝は遠のいたかに見えた。だが、ケプカがその後14、15番を連続ボギー、ガルシアが16番でバーディを奪い、勝敗の行方はプレーオフへと持ち込まれた。1ホール目でケプカがティショットを左の池に打ち込みダブルボギー。パーで終えたガルシアの実力による勝利だったが、転がり込んだ優勝とも思える展開だった。ガルシアの前回の優勝は2012年8月のウィンダム選手権。実に3年9カ月ぶりの沈黙を破る嬉しい出来事に、どこかホッとしたのだった。

■ 最終日が苦手 ワースト・クローザーの汚名返上!?

というのも、ここ数年のガルシアの最終日は僕ですらハラハラしてしまうほど、もどかしいものだった。度々のチャンスに恵まれながらも優勝を逃し続け「ワースト・クローザー」と言われはじめていた。直近では今年3月のホンダクラシック最終日、アダム・スコットと首位タイで迎えながら『71』(+1)と崩れスコットに優勝を譲った。今季の最終日の平均スコアは71.0でランク92位。昨年はランク117位で、改善されたとは言い難い状況だ。これまで最終日に首位発進した試合が13回で、そのうち優勝は3回、10回は逆転負けを喫していた。

米国のデータ分析専門家ジェイク・二コルスの試算では、13回、最終日首位で迎えた際の優勝の期待値は6.6勝。が、実際は3勝しかしていないので3.6勝下回る。タイガー・ウッズフィル・ミケルソンと比較してみると、違いは想像以上に大きかった。ウッズは最終日首位発進が57回。期待値は43.9勝。実際の勝利は53回なので、期待値より9.1勝も多い。ミケルソンの場合は33回、最終日首位発進して期待値は16.8勝。実際の勝利数は20なので3.2勝も上回っている。つまり、ガルシアは他のトッププロに比べ、極端なほど最終日に弱かった。そのことは誰より本人が痛感していて「12勝ぐらいはしていたはず」と悔しさは相当溜まっていたようだ。今回の優勝で最終日の傾向を完全払拭してくれればと願うばかりだ。

■ 17年の時を経て 思い出の地でつかんだ勝利の意味

PGAツアー9勝目はスペイン人選手最多勝利タイ記録で、母国の英雄セベ・バレステロスに並ぶことになった。バレステロスはガルシアにとっても憧れの選手だ。彼は5年前に54歳の若さで他界したスーパースター。メジャー5勝を含め世界で91勝。84年に、2度目の全英オープンで優勝した時の、右腕を上げた有名なポーズを気に入り、その姿を自身の右腕内側にブルーのタトゥで描き入れていたことを思い出す。ガルシアはアマチュアの頃からバレステロスに直接アドバイスを受け成長した。99年にプロ転向を果たし、渡米してPGAツアーに挑戦する前には、「英語を話せるようになること」、「腰を守るため左でもプレーすること」、「すぐに運転免許を取ること」と言われ、迷いなく実行した。

記念すべき米国でのプロデビュー戦は、偶然にも今回優勝したAT&Tバイロン・ネルソン選手権だった。いきなり3位と大健闘し「天才出現!」「神の子」などと大騒ぎになった。その初日、ガルシアが記念すべき第一打を打つ直前、僕は友人記者から「少し前にジーン・サラゼンが亡くなった」と聞き驚いた。サラゼンはメジャー7勝を含め通算39勝のレジェンド。巨星が去り、追悼の思いを抱きながら、入れ替わるように現れた新星ガルシアのショットを見守ったのだった。

17年前のプロデビューの地で、恩人であり憧れの大先輩に並び、最終日に負け続けた自身へのリベンジを達成。約4年ぶりの優勝の喜びはさざ波のように彼の心に押し寄せたに違いない。

■ メジャーと恋愛はシンクロ?

ガルシアは36歳、欧州ツアーでも11勝を挙げ、そろそろメジャータイトル獲得に注目が集まる頃。これまでメジャー70試合に挑戦し、2位4回、3位2回、トップ5に10回。トップ10に至っては20回も入りながら、未勝利なのだ。最初のメジャー惜敗は19歳。プロ転向した99年8月の全米プロゴルフ選手権だった。最終18番でバーディを決めれば、ウッズとのプレーオフだったが1打及ばず2位。07年の全英オープンでは、プレーオフでパドレイグ・ハリントンに敗れ2位。最近では14年の全英オープンで、ロリー・マキロイに迫ったが、2打及ばず2位に終わった。

恋愛も似た?遍歴かもしれない。02年はプロテニス女子世界1位のマルチナ・ヒンギスと交際していたが、翌03年に別離。その後、米国人女優ジェシカ・アルバとデートが公となったものの、グレッグ・ノーマンの長女モーガンと交際をスタートした。ノーマンはガルシアの父が関係するスペインの試合をサポートしたり、彼女はガルシアの実家を訪問し、おふくろの味を伝授してもらったり、ノーマンとガルシアによるゴルフ場の共同設計など、家族ぐるみの交際で、結婚は秒読みと思われた。しかし2013年に破局。ほどなくモーガンは別の男性と結婚し、出産した。

ガルシアはしばらく別れのショックを引きずっていたが、ドイツ人女子大生のカタリナ・ボヘムと交際を開始。彼女はチャールストン大学ゴルフ部出身で、ゴルフはシングルの腕前だ。同年12月のタイゴルフ選手権でキャディバッグを担いで優勝。キャディとしての知識、評価も高く、ガルシアの感情の起伏をコントロールすることも上手で「メジャーでも起用すれば勝てる」と言われたほどだった。多くの試合に彼女を同伴しているが、最近めっきり彼女の姿を見なくなった。余計なお世話かもしれないが、その後の恋の行方も気になるところ。メジャー優勝、恋人との穏やかな光景・・・ガルシアの弾ける笑顔と幸運を心から願っている。

佐渡充高(さどみつたか)
ゴルフジャーナリスト。1957年生まれ。上智大学卒。大学時代はゴルフ部に所属しキャプテンを務める。3、4年生の時に太平洋クラブマスターズで当時4年連続賞金王に輝いたトム・ワトソンのキャディーを務める。東京中日スポーツ新聞社を経て85年に渡米、ニューヨークを拠点に世界のゴルフを取材。米国ゴルフ記者協会会員、ゴルフマガジン「世界トップ100コース」選考委員会国際評議委員。元世界ゴルフ殿堂選考委員。91年からNHK米ゴルフツアー放送ゴルフ解説者。現在は日本を拠点に世界のゴルフを取材、講演などに飛び回る。

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