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【番外編_143】20 Years of タイガー・ウッズVol.2「プライベートライフ」

■ 私生活でもシンデレラボーイ

ゴルフの上手いスタンフォード大学の学生は衝撃的なプロ転向で、一夜にして“時の人”となった。魅力的なバチェラー(未婚男性)としても注目を集めるようになっていった。

試合に訪れる女性層が変わり、PGAツアーの雰囲気は激変した。ウッズがデビューする前にも、自身のセクシー写真に電話番号を添えて、お目当ての選手のロッカーに入れておくなど積極的なプロゴルファーハンターはいたが、コース内の雰囲気が変わるほどではなかった。ヘソ出しTシャツにホットパンツ、目のやり場に困るほどのセクシーなドレスをまとったファンが、ウッズに猛アピールしようと押し寄せてきた。ギャラリーは、大抵、歩きやすいようにゴルフシューズやスニーカーで訪れるが、彼女たちはファッション重視で、ハイヒールで来場する人も少なくなかった。彼女たちのターゲットはウッズから他の選手にも広がり、特に若い独身選手はプレー中も熱い視線を浴びるようになったのだ。中には交際に発展し結婚した選手が何組も誕生。今は若い女性ギャラリーは珍しくないが、その発端はウッズの登場だったと言っても過言ではない。

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独身時代は、どこに行ってもモテモテで、ほんの少しの交流でも噂になり、それに尾ヒレがついて、メディアで報じられる時には針小棒大。とんでもない事になったこともあった。スーパーモデルのタイラ・バンクスやジュニア時代から親しくLPGAで女タイガーと言われた人気選手ケリー・キーニらとの恋の噂も駆け巡り、連日、芸能ニュースを賑わせるほどのお騒がせぶりだった。

■ 最初の恋人はブロンドの女子大生

プロデビューから2年が経過した1998年の秋、ウッズに本命のガールフレンドが登場した。同じカリフォルニア出身、ブロンドヘアの女子大生ジョアンナ・ジャゴダだ。ゴルフをよく知らないせいか、サンダルでコースを歩き、靴擦れでバンドエイドを貼ったりしていた。マスコミを避け、彼女と過ごすために実家からすぐの場所に別宅を購入するなど、公式の場にも恋人として同伴するようになり「結婚間近か?」と囁かれることもあった。彼女は大学で法律を学び、弁護士を目指し猛勉強中ということもあり、この交際は長くは続かず、いつの間にか終わっていた。次のデートのお相手は、5歳年上の人気女優ブルック・ラングトンだった。何度かデートしていたとゴシップ紙が取り上げたが、本命の恋人だったかは定かでない。

■ イングランドで一目惚れ

特定の恋人を作らず、数年が経過した2001年の「全英オープン」で、運命の出会いが待っていた。スウェーデン人のエリン・ノルドグレンを見た瞬間、一目で恋に落ちた。彼女はイェスパー・パーネビックの教育ベビーシッターで、美貌と抜群のスタイルを買われて、パートタイムでモデルをしていた経験もある。双子の妹ジョセフィン、パーネビックの子供たちと一緒に、試合会場に来ることが多かった。エリンは妖精のように美しく、笑顔が素敵な女性で思わず僕もドキッ!彼女の存在は、選手の間でも話題沸騰だった。

ウッズはすぐさま猛アタックを開始した。彼女には不動産会社勤務の恋人がいたため、ウッズの誘いを固辞し、それが恋の炎をさらに燃えあがらせた。優勝を決する最終ホールのごとく、情熱的なアタックを続け、仲介役のパーネビックも最後にはあきれるほど。次第にエリンも心を動かされ交際がスタートした。

同居生活を経て、ウッズはドバイの海岸でひざまずきプロポーズ。その時の気持ちを記者会見で「メジャーの難しいパットを決めるより緊張した」と笑っていた。ゴルフボール大のダイアの婚約指輪を贈った!?などと再び世間を賑わせた。2004年10月カリブ海バルバドスにあるリゾートを貸しきり、120組のセレブを招き超豪華挙式を行った。しかし、仲人ともいえるパーネビック夫妻、親友ノタ・ビゲイらは欠席。その理由は不明のままだ。

■ スキャンダル そして出会った最愛の女性

2007年に長女サムが誕生し、2009年には長男チャーリーが誕生した。それから9か月後の11月。米国はサンクスギビングデイで、ウッズの母、スウェーデン政府の大臣をリタイアしたエリンの母バーブロを招き、一家団欒の楽しい時間を過ごすはずだった。しかし、ウッズは真夜中に自宅近くで自動車事故を起こし、大スキャンダルへと発展。今となっては、どこまでが真実かは不明だが、10人以上の女性と不適切な関係を結んでいた事実が表沙汰になった。二人は離婚を選んだが、ウッズは子供たちに会えるように近所に住むことにした。

子供たちがスキーを習うようになり、ウッズはスキー場で人生2度目となる運命の出会いを果たす。子供たちのコーチの姉で、アルペンスキーの金メダリスト、リンゼイ・ボンだった。ウッズもボンも離婚から数年、トップアスリート同志で意気投合し、一気に距離が縮まっていった。すぐに同居を始めて交際宣言、互いにケガを抱えながらも、刺激し合い、励まし合い、ボンは昨年12月に復活優勝を果たした。今年は何としてもウッズの番にしなければならない。

一昨年、エリンにも恋人ができた。20歳上の米石炭王で慈善家としても知られるクリス・クラインだ。エリンは恋人をウッズとボンにも紹介し、両カップルで食事するなど、時を経て大人の関係を築いた。エリンは子育てしながらフロリダ州のロリンズ大学夜間学部に復学し、心理学の学位を取得。昨年5月の卒業式では最優秀学生としてスピーチを行った。

恋人とジャーナリストの父が見守る中、ウッズにもらった題材をヒントにスピーチをすると大きな拍手に包まれたという。その後、富豪の恋人とは破局したものの、彼女はいろいろな経験を糧に、新たな人生を歩みだした。エリンはボンを信頼し、試合観戦に行く子供たちを安心して託すなど、今では家族のような関係を築いている。ウッズも今年12月30日で40歳を迎え、20年の歳月を経て、戦友でもある最愛の女性ボン(30)に出会うことができた。元妻で現友人のエリン(34)、愛する子供たちにも支えられ、ようやく平穏な暮らしとゴルフにフォーカスできる環境にたどり着いた。

佐渡充高(さどみつたか)
ゴルフジャーナリスト。1957年生まれ。上智大学卒。大学時代はゴルフ部に所属しキャプテンを務める。3、4年生の時に太平洋クラブマスターズで当時4年連続賞金王に輝いたトム・ワトソンのキャディーを務める。東京中日スポーツ新聞社を経て85年に渡米、ニューヨークを拠点に世界のゴルフを取材。米国ゴルフ記者協会会員、ゴルフマガジン「世界トップ100コース」選考委員会国際評議委員。元世界ゴルフ殿堂選考委員。91年からNHK米ゴルフツアー放送ゴルフ解説者。現在は日本を拠点に世界のゴルフを取材、講演などに飛び回る。

関連リンク

2015年 ウェイストマネジメント フェニックスオープン



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