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<佐渡充高の選手名鑑 133>バッバ・ワトソン

■ 名は体を表す!多芸多才な二人のBubba

ワトソンはフロリダ州北西部ペンサコーラ近くの小さな街バグダッド生れ。両親と姉の4人家族に育った。本名はゲーリー・レスター・ワトソンJrだが、父は産まれたばかりの長男に対面し、あまりの巨漢に「Bubba(バッバ)みたいだ!」と思わず叫んだ。それがニックネームになり、本名以上に愛され親しまれる名になった。父が連想したBubbaとは身長2メートル1センチ、体重117キロの米プロフットボール選手バッバ・スミスのことだ。学生時代から最怖と言われたほどの鉄壁ブロックで相手チームをKO。引退後は俳優や映画監督に転向すると、映画「ポリスアカデミー」シリーズではチャーミングな警官候補のモーゼス・ハイタワー役など、20本以上の作品に出演している。米国ではビールのCMでお馴染みの顔だった。ゴルフ界のバッバも191センチ、82キロに成長。今季は「マスターズ」2勝目を挙げ、名実ともにビッグな存在になった。

■ ショットのアーティスト “Bubba Golf”はエンターテイメント

ワトソンのプレーを一言で言うと“魅せるゴルフ”だ。飛ばしも凄いが、球を曲げてターゲットを狙う独特の攻め方は、痛快そのもの。状況に応じて高、中、低、大、中、小のフックやスライスを駆使する縦横無尽なマネージメントが特徴だ。僕はワトソンのストレートボールを見たことがない。真骨頂は2年前に優勝した「マスターズ」だ。南アのルイ・ウーストハイゼンとプレーオフになり、その2ホール目のプレーは圧巻の“Bubba Golf”だった。右の深い林の中からの2打目はフェアウェイに出すのが精一杯と思われたが、レフティの彼は90度近いフックをかけ、4メートルのチャンスにつけるスーパーショットを披露した。そのホールをバーディとし優勝。日頃から球を曲げて狙う彼にとっては、朝飯前のショットだったかもしれないが、今も強く印象に残る芸術的な1打だ。

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さらに音楽の才能でも魅せる。リッキー・ファウラーベン・クレインハンター・メイハンの4人で結成したユニット「Golf Boys」で好演。単独でもクリスチャン・ヒップホップのアンディ・ミネオのアルバム曲にも参加するなど、ゴルフ以外にも表現の場を拡げている。人付き合いが苦手だと言うが、TVのトークショー出演でも、ちょっとブラックなジョークを交えて拍手喝采を浴びるなど、エンターテイナーの素質十分。本家スミスのように将来は映画出演もあるかもしれない。父はグリーンベレー(陸軍特殊部隊)で活躍したが4年前に咽頭がんで他界。バッバ・スミスも3年前に他界している。2人は天国からブラボー!と彼の活躍を誇らしく眺めていることだろう。

■ ホームメイドのスイング 我が辞書にコーチなし

ゴルフは幼い頃に、父からクラブの握り方など基礎を教わっただけで、いまだかつて指導を受けたことがない。米国の学生の多くは、技術面では個人でコーチを選ぶことが多いが、ワトソンはジョージア大学時代も監督から指導を受けたことがない。プロ転向後もメンタルもフィジカルも、すべて自分の創意工夫で構築した。「ゴルフは教わるものではない、自己表現である」という考えだ。ワトソンは自身のゴルフを「感覚派」というが、僕は研究熱心な理論派でもあると思う。クラブの知識も豊富、スウィングのメカニズムについても独特の持論を持っている。ド迫力ショット、大胆な攻略の一方で、彼はとても繊細な感覚を持っている。グリップのテーピングのわずかな違いでさえ、握った瞬間にわかるほど繊細で、クラブ調整は信頼する同じクラフトマンにしか依頼しない。クラブをあまり変えない理由は、このドンピシャの調整が難しいからだ。

■ ドリームハウスでDreams come true

タイガー・ウッズとは、父が同じグリーンベレーに所属し、似た環境で育ったこともあり親しくしている。一緒にプレーしても「タイガーだって僕とプレーしたらショートヒッターさ!」と、面と向かってジョークを言えるほどの間柄だ。そんな関係から昨年3月にフロリダ州オーランドのウッズの邸宅(2009年タイガーのスキャンダルがあった当時の家)を購入。時間をかけ改装し、今春に入居した。それまでは雨が少なく一年中ゴルフができるアリゾナ州スコッツデールに住んでいたが、ツアーは東海岸で開催される試合の方が多く、フロリダは希望の地でもあった。また治安の良さも決め手になった。「マスターズ」で優勝後、広く知られる存在になり、車であとをつけられるなど不安なことも度々。ゴルフ場内にある元・ウッズ邸は、敷地入口に門衛が常駐しセキュリティは万全、プライバシーもしっかりと守られているため、子育てにも抜群の環境だった。アンジー夫人と2人の子供と新生活をスタートした直後、2度目の「マスターズ」で優勝。ワトソンは幸運をよ呼ぶドリームハウスで、さらなる飛躍を続けている。

佐渡充高(さどみつたか)
ゴルフジャーナリスト。1957年生まれ。上智大学卒。大学時代はゴルフ部に所属しキャプテンを務める。3、4年生の時に太平洋クラブマスターズで当時4年連続賞金王に輝いたトム・ワトソンのキャディーを務める。東京中日スポーツ新聞社を経て85年に渡米、ニューヨークを拠点に世界のゴルフを取材。米国ゴルフ記者協会会員、ゴルフマガジン「世界トップ100コース」選考委員会国際評議委員。元世界ゴルフ殿堂選考委員。91年からNHK米ゴルフツアー放送ゴルフ解説者。現在は日本を拠点に世界のゴルフを取材、講演などに飛び回る。

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