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2014年 クイッケンローンズ・ナショナル
期間:06/26〜06/29 場所:コングレッショナルCC(メリーランド州)

<佐渡充高の選手名鑑 124>ポール・ケーシー

2014/06/25 10:00

■ イングランドの2トップ ケーシーとドナルド

ポール・ケーシー(36)は同じ歳のルーク・ドナルドとともにイングランドの2トップとして一世を風靡してきた。ケーシーは2001年欧州ツアー新人王、2006年には最優秀選手賞を受賞。2009年5月にはキャリアハイの世界ランク3位に浮上した。それに呼応するように、2年後の2011年にはドナルドが世界ランク1位に君臨し、同年、史上初の欧米両ツアー賞金王に輝く快挙を成し遂げた。二人はワールドカップでコンビを組み、母国代表として出場。2004年にはセルヒオ・ガルシアミゲル・アンヘル・ヒメネスというスペイン強豪組を抑え優勝を飾り、しばらく静かだった英国ゴルフ界にビッグニュースをもたらした。二人は私生活でも親しく、ドナルドの兄クリスチャンがケーシーのキャディをしていた時期もあり、ライバルとして刺激しあう関係でもあった。ケーシーは米PGAツアーでは2009年「シェルヒューストンオープン」の1勝だけだが、欧州ツアーでは12勝。ここ数年はケガの影響もあって足踏み状態が続き、米国でのシード権を失ってしまった。今季は出場優先順位34位と最も低く、「過去のチャンピオン」というカテゴリーやスポンサー推薦で限られた出場のチャンスを生かし奮闘中だ。サングラスを愛用し髭をたくわえ大変身!無我夢中でセンターステージへの復活を目指している。

■ アリゾナ留学でポテンシャル開花

ケーシーは1988年にフィル・ミケルソンの母校アリゾナ州立大学に、ドナルドも同年シカゴのノース・ウェスタン大学に留学した。当時の米国学生リーグは彼らに加え、チャールズ・ハウエルIIIや“トップ10マシーン”のマット・クーチャー、2009年「全米オープン」優勝のルーカス・グローバーらが凌ぎを削っていた。その中でケーシーは常に最注目選手で、ミケルソンの後継者と期待されていた。学生リーグ通算6勝。ミケルソンやタイガー・ウッズが保持していた記録を破る劇的勝利もあった。アマチュア版欧米対抗戦「ウォーカー・カップ」で全勝し、彼ひとりで4ポイントを獲得。2001年「全英アマチュア選手権」2連覇を達成直後に大学を中退し、プロ転向を果たした。欧州ツアー出場わずか5試合で出場権を獲得し、センセーションを巻き起こした。

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■ 公私ともに第二幕へ

私生活では、「マスターズ」覇者のファジー・ゼラーの紹介で知り合ったジョセリンと7年の交際を経て2008年に結婚。彼女は“プレイボーイ”の創始者ヒュー・ヘフナーの親族だったことも話題になった。しかしアリゾナでの幸せな生活は短期に終わり、約3年の話し合いを経て、2011年に正式離婚。同年末はアイダホでスノーボードをしている時に転倒し、右肩を負傷する不運に見舞われた。手術は不要だったが全治2か月の重傷で、ゴルフにも悪影響を与えた。
不安なリハビリ生活の中で嬉しいこともあった。ケガをする少し前に出場した欧州ツアーの試合でアブダビを訪れた時、現地で開催されていたF1のグランプリレースでイベント出演していた5歳下の母国人気タレント、ポリアンナ・ウッドワードとの運命的な出会いがあった。彼女はミス・イングランドのファイナリストになった後、TV番組の司会やグラビアで活躍する人気アイドルに駆け上がった。出会った当時、偶然にも彼女も離婚直後で傷心。似た境遇の2人は、出会いから交際まで時間はかからなかった。ケーシーの応援に豪州に同行するなどデートを重ね、ケーシーは昨年7月に欧州ツアーの「アイルランドオープン」で2年半ぶりに逆転優勝を飾った。最終日は激しい風雨だったが、天気が回復し、陽が射し始めると同時にケーシーのチャージが始まった。私生活でもこの優勝のような逆転劇。昨年末に婚約、今年4月には米国の永住権を申請するなど、公私ともに第二幕をスタートし、今度こそ素晴らしい未来をと、固い決意で挑んでいる。

さらに、彼の気持ちを鼓舞させているのは同じイングランド出身で3歳下のジャスティン・ローズの躍進だ。12歳の時に出場したジュニア試合の決勝でのことだった。ローズに最終ホールでチップインバーディを決められ惜敗。その時から「必ず彼に勝つ!」と決めたのだ。昨年の「全米オープン」でローズが優勝し、ライバル心はさらに燃え上がっている。今季は出場が厳しい状況下で「チューリッヒクラシック」で11位、「ザ・メモリアルトーナメント」で13位など、トップ20に5回と上位フィニッシュも増え、復調の確かな兆しが感じられる。

佐渡充高(さどみつたか)
ゴルフジャーナリスト。1957年生まれ。上智大学卒。大学時代はゴルフ部に所属しキャプテンを務める。3、4年生の時に太平洋クラブマスターズで当時4年連続賞金王に輝いたトム・ワトソンのキャディーを務める。東京中日スポーツ新聞社を経て85年に渡米、ニューヨークを拠点に世界のゴルフを取材。米国ゴルフ記者協会会員、ゴルフマガジン「世界トップ100コース」選考委員会国際評議委員。元世界ゴルフ殿堂選考委員。91年からNHK米ゴルフツアー放送ゴルフ解説者。現在は日本を拠点に世界のゴルフを取材、講演などに飛び回る。

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