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2014年 チューリッヒクラシック
期間:04/24〜04/27 場所:TPCルイジアナ(ルイジアナ州)

<佐渡充高の選手名鑑 116>マット・クーチャー

2014/04/23 10:00

■ 3週連続の失速 日曜がキライになりそう!?

今春のマット・クーチャー(35)は勝てそうで勝てない惜しい試合が続いていた。「バレロテキサスオープン」で4位タイ、翌週の「シェル ヒューストンオープン」はプレーオフ進出も敗退、3度目ならぬ3週目の正直で、勝利は「マスターズ」かと思われたが、最終日は「74」と失速し5位タイ。このままでは決戦の日曜が嫌いになるのでは?と思ってしまうような戦いぶりが続いていたのだ。しかし、先週の「RBCヘリテージ」で逆転優勝を果たし、優勝争い4試合目で勝利をもぎ取った。これで日曜日が嫌いにならず良かったと、クーチャーは胸をなで下ろしたことだろう。

クーチャーの持ち味はハイレベルな安定感。今季も11試合に参加し、すでに1勝を含むトップテン8回、昨年は2勝でトップテン8回、一昨年は1勝でトップテンに9回。この5年で5勝、通算6勝。2011年には第5のメジャー「プレーヤーズ選手権」で優勝し、昨年は「WGCアクセンチュアマッチプレー選手権」で優勝。次はいよいよメジャーでの優勝が待たれるところだ。クーチャーは上位フィニッシュが多い割に優勝回数が少ない。優勝争いを繰り返し、その中でチャンスをモノにしていくのが彼のスタイルなのだ。「マスターズ」での奮闘も、6月の「全米オープン」に生かし悲願のメジャー制覇につなげるかもしれない。

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■ ボビー・ジョーンズ、グレッグ・ノーマンに憧れて

1978年フロリダ州で生まれ、大学はマスターズ創設のボビー・ジョーンズの母校ジョージア工科大学に進学。クーチャーは在学中に「全米アマ」を制して「マスターズ」や「全米オープン」に出場権を獲得、両試合でローアマチュアに輝いた。卒業後、すぐにプロ転向と思われたが、引く手あまたの契約の誘いを断って帰郷し、信託銀行に就職した。その理由は、心酔するジョーンズにようにアマチュアのままメジャー試合に出場し、優勝を目指そうと決めたからだった。しかし現実はそう甘くなく、銀行を退職しプロ転向。下部ツアーからの船出となった。ジョーンズ、そしてマスターズへの思いは誰より強く、何としても勝ちたい特別な試合である。

もうひとり大きな影響を受けたのはオーストラリアのグレッグ・ノーマンだ。少年時代はノーマンの絶頂期。ほとばしるようなプレー、選手としてのカリスマ性に大きな影響を受け育った。偶然にもクーチャーにとってプロ初参加の試合は、2000年の「オーストラリアオープン」だった。ノーマンは地元選手のみならず、分けへだてなく若手選手と接し、その様子に感銘を受けた。ノーマンは、この時新米プロだったクーチャーにも声をかけ、一緒に練習ラウンドを行うというクーチャーには夢のような体験だった。そして11年後、クーチャーはトッププロに成長し、感謝の思いで「オーストラリアオープン」に参加するなど、ノーマンとの気持ちのキャッチボールは続いている。ちなみにクーチャーのミドルネームもグレゴリー(グレッグ)と、憧れのノーマンと同じ。そんな縁も2人を結んだのかもしれない。

■ PGAツアーテニス部主将?転戦にラケットは欠かせない!

クーチャーが12歳の時に、母メグがゴルフ場のメンバーになったことをきっかけにゴルフを始めた。しかし実はクーチャー一家はテニスファミリーである。父ピーターはフロリダ州でアマチュア1位になったこともある選手で、クーチャーも同州ジュニアでトップ5に入る選手だった。ゴルフをしながらもテニスに夢中で、妻シービもテニスプレーヤー。二人は同じ大学で知り合い、テニスデートを経て結婚した。クーチャーはPGAツアー出場の合間に妻の兄とのダブルス、夫婦ダブルスなど全米クラスのテニスの試合に出場し、度々優勝争いに加わる好成績。転戦にはラケットを持参し、セルヒオ・ガルシアらテニス好きの選手やキャディたちとクラブ活動のように真剣に楽しんでいる。身長193センチ、体重90キロの体躯を生かした豪快なサーブ。守りに強く、試合運びもステディで、まるで彼のゴルフそのものだ。

テニスと言えば帝王ジャック・ニクラスもテニス好きとして知られ、転戦には常にラケットを持参して親しいノーマンらとプレーしていた。そしてジョーンズのアトランタにある邸宅を訪れた時、僕が最も驚いたのは母屋の裏にあった大きな屋内コートだった。病気で歩けなくなるまで、彼はそこでバトミントンに夢中だったという。憧れのジョーンズとの共通点もそんなところに感じてしまうのだ。

佐渡充高(さどみつたか)
ゴルフジャーナリスト。1957年生まれ。上智大学卒。大学時代はゴルフ部に所属しキャプテンを務める。3、4年生の時に太平洋クラブマスターズで当時4年連続賞金王に輝いたトム・ワトソンのキャディーを務める。東京中日スポーツ新聞社を経て85年に渡米、ニューヨークを拠点に世界のゴルフを取材。米国ゴルフ記者協会会員、ゴルフマガジン「世界トップ100コース」選考委員会国際評議委員。元世界ゴルフ殿堂選考委員。91年からNHK米ゴルフツアー放送ゴルフ解説者。現在は日本を拠点に世界のゴルフを取材、講演などに飛び回る。

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