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<佐渡充高の選手名鑑 108>松山英樹

■ マッチプレーで松山英樹への期待が大きい2つの理由

今大会はマッチプレーという試合形式を生かし、松山英樹が世界選手権というビッグステージで初優勝を飾る好機だと思う。1759年にストロークプレーが発案されるまで、ゴルフの競技はマッチプレーで行われていた。つまりマッチプレーはゴルフ競技の原点と言っていい。4大メジャーのひとつ「全米プロ選手権」も、第1回大会の1916年から1957年まではマッチプレーで行われていた。PGAツアーでは競技の原点であるマッチプレーを採用しようと85年、86年にツーソン・マッチプレー選手権を開始したが、わずか2年間だけでピリオド。その理由は実力ある選手が必ずしも次マッチに進めるわけではなく、人気選手が1回戦で敗退するケースもあり、週末にはビッグネームが全員敗退という結末も少なからず起きていたからだ。テレビでライブ中継が始まってからは早く決着がついた場合に時間を持て余してしまうことも多く、それが長続きしなかった理由だった。しかし、99年から世界選手権の開催がはじまり、マッチプレーが3度目の復活。実力ある魅力的な選手も増え、誰が勝っても興味の尽きないマッチを楽しめるようになり、今年で16回目を迎えた。

■ アップセット(下克上)続出! 世界ランク1位のウッズ、マキロイも初戦敗退

マッチプレーの対戦は、世界ランク1位と最下位の64位、2位と63位というように上位と下位が対戦し駒を進める。しかし毎年、1回戦でランク上位の選手が半分近くも敗退しているのだ。下位選手が上位選手を破る下克上を“アップセット”と言う。4日間スコアを積み重ねるストロークプレーとは違い、マッチプレーは1回勝負を繰り返す。負ければ次のマッチはない。しかも1回18ホールの短期決戦。ランクが上の選手でも、たまたま当日の調子が悪かったり、アンラッキーがあったり、流れを掴めなかったりすると勝つことは難しい。下位の選手は捨て身で一発勝負に挑み、流れを掴み、そのまま一気に勝利へ結びつけることもある。

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昨年もランク1位のロリー・マキロイが、64位のシェーン・ローリーに、ランク2位のウッズが63位のチャールズ・ハウエルIIIに負け、1回戦で敗退というビッグアップセットが起きた。ウッズは2002年にもランク1位で参加し、最下位のピーター・オマリーに負けて1回戦敗退という苦い経験があるなど、毎年必ずハプニングが起こる。松山は今大会初出場で米国でのマッチプレーは未知の経験だが、その日その日のマッチをしっかり戦えば、アップセットも優勝も十分可能。勝つことにこだわる松山にとってマッチプレーは、より実力を発揮するチャンスでもある。

■ 世界ランク22位だから松山は有利!?同ランク5位以内での優勝はウッズだけ

歴代優勝者には不思議なことに、世界ランクトップ5の選手はウッズ(3勝)しかいない。1999年の第1回大会優勝のジェフ・マガートは、同ランク24位だった。ここ数年を遡ってみても、翌2000年の優勝者ダレン・クラークは19位、2001年優勝者のスティーブ・ストリッカーは55位、2002年のケビン・サザーランドは62位。ちなみに62位のサザーランドの優勝は下位優勝者の記録でもある。

2013年勝者のマット・クーチャーは21位で出場。2012年勝者のハンター・メイハンは12位、さらに2011年勝者ルーク・ドナルドは9位だった。このように最上位と最下位との対戦方法では、20位前後の選手は自身のランクと近い選手と対戦するケースが多くなり、マッチプレーで比較的有利な順位だと僕は考えている。昨年をクローズアップしてみよう。勝者クーチャーはトップ10以内の選手とは一度も対戦せずに決勝戦へ進み、勝利を掴んだ。決勝戦はハンター・メイハンとの対戦だったが、メイハンもランク23位での参加だった。松山もランク20位前後での出場が濃厚で、マッチプレーにおいて最も有利なポジションだと思う。

今年は世界ランク1位から4位のタイガー・ウッズアダム・スコットフィル・ミケルソン、ジャステイン・ローズが欠場を表明し、非常に残念ではあるが、松山や他の選手にとってはビッグチャンスの到来だ。

佐渡充高(さどみつたか)
ゴルフジャーナリスト。1957年生まれ。上智大学卒。大学時代はゴルフ部に所属しキャプテンを務める。3、4年生の時に太平洋クラブマスターズで当時4年連続賞金王に輝いたトム・ワトソンのキャディーを務める。東京中日スポーツ新聞社を経て85年に渡米、ニューヨークを拠点に世界のゴルフを取材。米国ゴルフ記者協会会員、ゴルフマガジン「世界トップ100コース」選考委員会国際評議委員。元世界ゴルフ殿堂選考委員。91年からNHK米ゴルフツアー放送ゴルフ解説者。現在は日本を拠点に世界のゴルフを取材、講演などに飛び回る。

関連リンク

2014年 WGCアクセンチュアマッチプレー選手権

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