By Helen Ross, PGATOUR.COM

D.ラブIIIは「ウィンダム選手権」で2度の優勝経験を持つ※画像は2014年「クイッケンローンズ・ ナショナル」（G Fiume/Getty Images）

デービス・ラブIIIは、若かりし頃にロッカールームでジェイ・ハースと交わした会話の内容を、今でも覚えている。

「もうどのくらいプレーしているの？」
こうラブが尋ねると、ベテランは「21年だ」と答えた。

ラブは彼の答えを聞くや、「本当に？どうすればそんなに長くやれるの？他にやりたいことがなかったの？」と言ったという。

実のところ、ハースは現在も現役を続け、チャンピオンズツアーに参戦。今年の4月に50歳となったラブも、29年目となるPGAツアーレギュラーシーズンを終えようとしている。今週末の「ウィンダム選手権」は、ラブにとって実に708大会目の出場となる。

ラブは優しい笑みを見せ、「終わりは見えないさ」と話すと、現役を続けられている理由を続けた。

「父にいつも言われていたことがある。『出来る限り一生懸命に努力して、どこまでいけるか見てもらいたい』とね。未だに父に言われたことを続けている気がするよ。昨日も雨の中でローンチモニターを置いてボールを打っていたけれど、いまだに楽しい。まだまだ楽しくて、コース内で4時間も時間を過ごすことが楽しくて仕方ないんだ」。

「これがプレーを続ける理由だし、今も努力を続ける理由だ」。

PGAツアー生涯シード権を獲得したラブは、「ウィンダム選手権」で2勝をあげている。今大会で優勝、またはトップ3に入れば、1,000万ドルの賞金をかけて争われるフェデックスカップ・プレーオフシリーズへの出場が決まる。

ラブが初めて賞金を獲得したのは、PGAツアー参戦1年目の1986年のこと。初出場から3大会目となった「シェアソン・リーマンブラザーズ・アンディ・ウィリアムス選手権」で24位タイに入り、3,836ドルを獲得した。

ラブは、「頻繁に振り返ることさ。昔はホテルにティタイム表がなくて、わざわざ車でクラブハウスに戻って、スコアボードを見て次の日のティタイムを確認したとか、そういう昔話をね」と、昔を懐かしんだ。

昔と現代の違いについての話は終わらない。

「今のようにメールなんてものはなかったからね。昔はサスペンデッドを知らせるホーンが鳴ったものだけれど、今は携帯にメールで中断の連絡が届く。昔はどうしたら良いのかわからなかったものさ」。

「昔は次の日のティタイムを予想したり、新聞社に自分で問い合わせたりもした。文字通り、今とは別世界だよ。スコアを含め、あらゆる情報はスコアボードに乗っていたからね。今のように、インターネットで順位や予選落ちラインの確認も出来なかった」。

ラブがプロに転向する6年前にスタートしたESPNでも、昔はゴルフとNASCARはついでに取り上げられる程度だったという。それが今では、月曜日に放送されているジミー・ファロン司会のTonight Showで、PGAツアー選手や、注目の高校生プレーヤーを紹介するなど大幅な枠が設けられている。

「素晴らしいことだよ。グレッグ・ノーマン、フレッド・カプルス、ジョン・デーリー、それに現代のスーパースターであるタイガー・ウッズやロリー・マキロイは、多くの人をゴルフに引き込んだ存在。ロリー・マキロイは今もっとも熱い選手で、メディアも彼を大きく取り上げている。レブロン・ジェイムス（NBA）とほぼ同様にね。彼らはタイガーとレブロンを同格に扱っている」と話したPGAツアー20勝のラブは、現代のゴルフ人気を歓迎しているという。

「これだけの規模に成長したのは素晴らしいこと。今までも各大会でファンから素晴らしいサポートをもらえていたけれど、ここまで世界的な競技になるなんてね。今では大会期間中のプレーだけでなく、練習ラウンドの様子もテレビで放送される。それに多くのメディアに取り上げられている。週末にはCBSで2時間中継されるし、1週間に25時間もゴルフ番組が放送されているからね」。

「本当にすごいこと。競技規模も大きくなったし、賞金額も昔とは比べものにならない。ゴルフは多くのスポーツを追い抜いた。（PGA歴代コミッショナーの）ディーン・ビーマン、それにティム・フィンチェムの功績は素晴らしい。良い選手に恵まれただろうけれど、彼らがゴルフをここまでに成長させたんだ」。