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「若手に見せたかった」谷原秀人がマスターズ滑り込み出場へ

◇世界選手権シリーズ◇WGCデルテクノロジーズ マッチプレー 4日目(25日)◇オースティンCC(テキサス州)◇7108yd(パー71)

死力を尽くして、オーガスタへの道を切り開いた。予選グループリーグを突破した谷原秀人は、午前中の決勝ラウンド1回戦でポール・ケーシーを2&1、午後の準々決勝でロス・フィッシャー(ともにイングランド)を4&2で下し、準決勝に進出。今大会終了後の世界ランキング50位以内の確保、2週後の「マスターズ」出場が決定的となった。

「いつ終わるのか…そればかり考えていました」。2マッチ合わせて33ホールの長丁場。気温は早朝の15℃から、午後は30℃以上と大きく変化した。この日2度目となった16番(パー5)のグリーン上で戦いを終え、谷原はやっと笑った。「ベスト4までは望んでいなかった。良いプレーができて最高にうれしい」。マスターズ出場をかけた大勝負を制してみせた。

午前中に世界ランキング16位のケーシーを下してから、わずか1時間の休憩時間におにぎりをほお張り、「スイングのタイミングだけ気を付けよう」と課題をシンプルにして出た準々決勝。1Wの飛距離ではケーシー同様、世界ランク53位のフィッシャーにも30yd近い飛距離の差をつけられた。キャディと「スゲエな…スゲエな…!!こんなところ、1年いたら気がおかしくなる」と笑いながらも、自分のプレーに徹し続けた。

相手のミスに乗じて、持ち前のショートゲームで我慢、我慢。オールスクエアで迎えた6番(パー5)で3打目を花道から寄せてバーディを奪うと、7番(パー3)、8番とバンカーから1パットでパーセーブ。「グリーンを外したときに(アプローチが)一番易しいところばかりを狙った。飛ばないなりに作戦を立てた。ボギーを打たないことが相手は苦しい。僕が、そうやられても苦しい」。4ホール連取で、ハーフターン時に4アップ。ともにバーディチャンスを作った直後の10番では、2mを決められた直後に1.5mを沈め返し、フィッシャーを反撃に転じさせなかった。

ベスト4に進出したことで、PGAツアーはラウンド後、今大会終了後の谷原のランキングが、60位から50位以内に浮上する見通しであることを発表した。マスターズ「前週の50位以内」の資格を確保し、2007年大会以来2度目の出場を決定的にした。

昨年、日本ツアーで賞金王戴冠を逃してランク56位で終了し「前年末の50位以内」の出場資格を満たせず、年明けから世界を回った。米ハワイ、シンガポール、ミャンマー、オーストラリア、メキシコ、そしてここ米テキサス。必死の努力は今週、結実した。

「(海外に)行っていなかったら、ポイントも稼げなかった。こういう風にマスターズに入る日本人はいなかったと思う。『行けたら、こういう例もあるんだよ』と、若手にも見せたかった部分がある」

今年マスターズに臨む日本勢は、松山英樹池田勇太に続いて3人になった。38歳。日本人ツアープロたちから慕われる“兄貴分”の大仕事。影響は決して小さくない。(テキサス州オースティン/桂川洋一)

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