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D.デュバル:マスターズ予選落ちで救われた!?

デビッド・デュバルはこのところ10試合での最高成績が12位。今年1月、8年にわたってつきあっていたジュリー・マッカサーさんとの婚約を解消し、同じ月に、スノーボードで転んで右肩を痛め、以来、腱の炎症が治っていない。

調子が上がってきていたニッサンオープンの週には、食中毒で最終日を棄権するはめになった。そして愛するマスターズでは予選落ち。いまや5月も半ばとなったが、デュバルのPGAツアー賞金ランキングは100位だ。肩の状態を懸念して、バイロン・ネルソン・クラシックの週の水曜日にはプロアマを欠場し、アラバマでMRI検査を受けたが、異常は見られなかった。

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3月の終わり頃には「整備不良の列車」と称していた今季の自分について、「事態はさらに悪化している」と冗談めかして言う。

「その列車には有毒化学物質が積み込まれていることが判明したのです・・・」

サングラスの下で何秒間か高らかに笑ったデュバル。ふるわない原因についての遠慮のないインタビューの最中にも笑い声をあげたり微笑みを浮かべていた。デュバルは自分の安らぎについて話し、望みを失ってはいないと語った。いまの状態は、山あり谷ありの長い人生の一場面だと考えているし、クラブも思い通りに振れていると言う。心理的なスランプのカウンセリングで著名なボブ・ロッテラ博士に緊急電話をかけて、メンタル面での診断を仰ぐ必要などないのだと。

「生きていれば起こるいろいろな出来事が、たまたま重なっただけです。長引いていて、もう半年になりますか。あるいはこのまま1年たってしまうかもしれませんが、私は復活します。再びすごいゴルフをしますよ。残念な事も起きましたが、なんとか対処できます。今年起きたことについてはもう気持ちの動揺はありません。ゴルフが私の人生で最も重要なものだというわけでもないですしね」

フィアンセと別れたことはゴルフに影響している。彼もそう思っている。

「間違いありません。誰にとってもきついことでしょう。さっき言った人生で起きるいろいろな事という中にそれも入ります。その影響は傍目にもわかってしまうし、生活にいろいろと表れてしまいます。でも、そのことがいまの不調にどのくらい影響していて、肩の故障がどの程度なのかを測るのは難しい。私としては、それらが同時期に起きたというだけのことで、とくに気に病んでいるというわけではありませんが・・・」

2001年の全英オープンではパッティングに強みを発揮して、メジャー初制覇となった。世界ランキング・ナンバーワンとなった1999年のレベルを超えて、デュバルのゴルフがさらに高みへと登り詰めることを期待する声は大きかった。

これまでのデュバルはあらゆる面でスケール破りの活躍を見せ、歩みを続けている。婚約解消はこれまでになかったことだが、「人生のいろいろな出来事」がゴルフに影響したことはあった。2年前に腰痛をやってから、コンスタントに高いレベルでプレイし続けることはできなくなっている。去年は手首のけが。そして30歳になったいま、傷めてしまったのは右肩とハートだ。「次にケガするのはどの関節でしょうね」とジョークを飛ばすデュバルだが、同情にはおよばないという。

「私がどんなふうに悲しまなくちゃいけないというのですか? 私はメジャー・チャンピオンになり、ヴァードン・トロフィー(平均スコアが最少のプレイヤーに贈られる)も獲得してきたし、賞金王にもなった。13勝しましたしね。もし今日でおしまいだとしても私のキャリアは十分です。これから5年、10年とプレイを続けていけば、いいことはまた起きるでしょう。ここでピリオドを打つことができるなら、それでも私はオーケーです。ここまでの自分のプレイぶりや過去2年間に起きたことを思い返してみるとき、私は穏やかな気分になれます。いいことも悪いこともあるということです」

ときとして失敗もよし、というのがデュバルの考え方である。4年間、優勝を争ってきたオーガスタで、今年は予選落ちを喫したことについてこう語る。

「気が違ったのかと思われるかもしれませんが、私は予選落ちしたときに救われたように感じたのです。公私ともに私の回りで起きていたいろいろなことがそう感じさせたのです・・・。ばかげた言い方ですが、週末に争えるグループの中に自分はいないということが、ちょっといい感じだった。望んでいなかったという意味ではありませんよ。だけど、頭に来ることはなかったし残念でたまらなかったというわけでもなかった。とりあえず、一つの締めくくりのような感じがしましたね。終わったんだ、優勝争いには加われないんだ、と感じたのです。そして3週間のオフを取って、そのことにはケリをつけたのです。おかげで再び前向きに取り組めるようになった」

デュバルと、友人であるタイガー・ウッズに向けられる目は同じではあり得ない。かたや火、かたや氷だ。ウッズにはジャック・ニクラスの記録という追い立てられるものがある。デュバルがインタビューの中で「あと5年か10年」しかプレイをしないかのように言ったのは事実だが、いま彼は、ナンバーワンであることはいい気分ではない、もう一度なりたいとは思わないという境地に立っている。

「すでにやってしまったことだと感じます。もうそれは実行済みといったところ。これまでのキャリアのなかでは、その時点で私にできる最高のことをやった。勝つことについてはいまも気を揉んでいますが、(ナンバーワンであること)は私にとってあまり意味をもたないのです。自分の人生の中で起きることに対しては、私はかなりハッピーです。毎日、楽しんでコースをあとにしたい。それに、いいプレイがしたいです」

フレッド・カプルスも同じように心を自分の内側へ向けるプレイヤーだったが、トップランキングのプレイヤーに付き物のスポークスマン、宣伝塔としての役割をデュバルは好まない。彼がやりたいのはゴルフであって、ゴルフの宣伝活動ではない。ナンバーワンでいるのは居心地が悪いと彼は言ったが、それはものの見方が違うからだ。

「私の答えが変わることはないし、私の知識が変わることもないのに、何かにつけ正解を心得ていることを期待されていると感じていました。でも私は、月曜日の朝、起きてみたらランキングがナンバーワンになっていたからといって、眠っている間に知識が増えたというふうには感じていませんでしたよ」

ゴルフが少しよくなってきて、バイロン・ネルソン・クラシックでは15位タイだったが、その結果が出る前にデュバルが得たハッピーな知識は、肩の故障がそれほどひどくはないということだった。そのケガはアイダホ州のサンヴァレーでスノーボードに興じているとき、彼のいうところの「顔面落ち(face plant)」でやってしまったものだ。ジャンプして着地し、ターンをしたときにボードのフロントエッジが雪面に引っかかって、顔と右肩から転倒したのだった。彼の話では理学療法と抗炎症剤によって、うまくいけば6月には完治するということだ。

「検査してもらうことをいやがっていたんです。4か月前に行って調べてもらうべきだった。でも、そのときはぶつけて、捻挫したくらいに思っていたのです」

次に調べるべきはベスページのブラックだろう。今年の全米オープンの開催地であるベスページは、全米オープン史上初めての州営コースだ。いまや駐車場で一夜を明かしてティータイムをとるのが普通になっている。

「(本番前にベスページで)やっておきたいところですけど、車の中で眠るのはちょっとね・・・」

デュバルはそう言ってまた笑った。

By JEFF RUDE(GW)

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