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今最も旬な人、A.バデリーの素性

今季の米ツアー第2戦『ソニーオープン』でアーニー・エルスと死闘を繰り広げたオーストラリア出身の21歳アーロン・バデリー。その洗練されたプレーに驚嘆したファンも多いと思うが、と同時に、彼のスター性に惹かれた女性ファンもいるだろう。映画スターのルックス、モデルのような笑顔、洗練された着こなし・・・形容するならば、現代のジェームズ・ディーンというところか。どこを取っても完璧なバデリーだが、そんな外見とは裏腹に、努力を惜しまぬ完璧主義者で、勝利への飽くなき要求を持つ、そんな若者なのだ。

18歳の時、最年少で『全豪オープン』に勝利し、「完成された芸術的スウィング」ともてはやされたが、それでさえバデリー本人に言わせると完璧なものではないと言う。その後も3勝を挙げるなど、プロ転向後も順風満帆に見えたが、長い間お世話になったコーチであるデール・リンチのもとを離れ、デビッド・レッドベターの門を叩くことにした。「傍目には良いスウィングに見えても、実は不安定で、練習し続けなければ感覚を維持することができなかった。それは良いスウィングで無い証だ」と、その理由を話した。

そして新たなスウィングを引っさげ、『ソニーオープン最終日』には無限の可能性を秘めるスターであることを世界に知らしめた。プレーオフで敗れたものの、勝利を収めたエルスに「若いが忍耐強い。しかも全く動揺しないのには驚いた。間違いなく将来のスターだ」と言わしめた。

無限の可能性と、約束された将来を感じずにはいられないが、これまでの道は決して平坦なものではなかった。母国オーストラリアでは2000年に『全豪オープン』連覇を果し、2001年には『グレッグノーマン・ホールデンインターナショナル』で3勝目。その後は鳴り物入りで米ツアーにも参戦したが、先日の『ソニーオープン』までの合計21試合での最高位は44位で、予選通過は5試合しかなかった。

2001年夏、バデリーは思い切ってスウィング改造に踏み切った。そして8月にレッドベターに提案ベースでスウィングコーチを依頼。その内容は極めてシンプルだ。「今までのスウィングを白紙に戻すつもりで教えて欲しい。そして試合のプレッシャーに押しつぶされないスウィングを作りたい」。レッドベターはスウィングのオーバーホールにあたり、数段階に分けて教え始めた。そして最初のレッスンは「大まかなスウィング再編成」だった。

レッドベターに会う以前のバデリーの問題点は、トップでクラブフェースがシャットになることだった。そして、その解決は容易ではなかった。「プレッシャー下ではフックが出やすい傾向にあった。弱点克服には、トップでクラブフェースをスクウェアに保たなければならない」とレッドベターは分析。そこで練習課題となったのが、左手グリップの強化とスタンス幅を広げる事だった。そして最も重要だったのは、オンプレーンでスウィングすることにあった。

「レッドベターの言う事を実践したら、すぐに結果として表れた」。バデリーとレッドベターは急速に信頼関係を築いた。レッドベターも「結果を求めるのに時間はかからなかった。彼は私を信頼し、それが彼の弱点克服への近道となった」と話す。

しかし2002年も順調にシーズンを迎えたわけではなかった。最初の試合となる『BUY.COMツアー(米ツアー下部組織)ジェイコブスクリークオープン』では84を叩き予選落ち。スウィング開発途上の試験的な時期ではあったものの、その後の7試合でも予選落ちを喫するなど、思いのほか早急な結果は望めなかった。「最初は難しかったが、スウィングを修正する時は必ずこうなるものだ」とバデリーは悟ったように話すが、その後、レッドベターが説く「(早急な結果を求めない)試合での意義ある実験」が奏功し始め、徐々にバデリーに自信が芽生えてきた。そして6月にはノックスビルで2位フィニッシュを果し、その後の快進撃に結ぶジャンプボードとなった。そして2回連続2位、4位タイ1回、最終戦のBUY.COMツアー選手権で13位タイフィニッシュなど大活躍を収め、2003年度の米ツアー参戦権を手中にした。

「戦うごとに上達していった。今まではスウィングを見失わないためにがむしゃらに練習するだけだったが、レッドベターに教わることで、より効果的なスウィングを身につけることができた。結果を出すのは時間の問題だったよ」と、『ソニーオープン』での活躍は当然であったと自信を見せた。しかしこれはバデリーにとって序章に過ぎない。彼の目標はあくまで米ツアーでの優勝と、マスターズ出場だ。

今回の2位フィニッシュで、世界ランクが85位にアップし、マスターズ出場にあと35スポットまでというところまできた。そんなバデリーは自分に期待をしていると言う。「多分、皆がかけてくれる期待以上に、自分自身に期待しているよ」・・・

勝利のためには努力を惜しまない。既に注目を浴びているルックス以上に、強い内面を携えたゴルファー。それがバデリーの本性なのだ。実力を伴ったアイドルが、今年の米ツアーを席巻しそうだ。

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