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業界裏ニュース:米ツアーのスポンサー探し

2003/01/04 09:00

2002年7月、米ツアーは翌年のスケジュールが決定せずにやきもきしていた。米ツアーコミッショナーのティム・フィンチェム氏は、スケジュール決定に関して、米国経済の状況が芳しくないのが影響しており、米ツアー史上最悪の年と言われた1991年の不況時とほぼ同様の状態にあると明言した。

それは新たにツアースポンサーとして参入してくる企業が少ないことからも明らかだ。1試合につき400万~900万ドルかかると言われるスポンサー料を払ってまで新規参入を果す企業もごく少数ある。しかし財政難に見舞われたワールドコムやダイナジーのように、契約期間を満了していないにも関わらず、その契約を破棄する企業も出始めている。

2002年は、夏場を迎えても充分な資金が集まらないトーナメントが約10試合ほどあり、翌年の開催が懸念されていた。米ツアー関係者は、2003年におけるスケジュールが予定どおり埋まることを約束したが、それは幸いにも現実となった。

この経済的困難な状況を、まるで魔法を使ったかのように切り抜けたフィンチェム氏は賞賛に値する。7つの企業が新たにスポンサーとして加わることになったのだが、これはゴルフ人口が急激に増加し、ツアーが広告媒体としての価値を上げた事が原因の1つとして考えられる。

他の要因としては、試合が開催される州や地方政府から資金援助があったこともある。サウスカロライナ州にあるヒルトンヘッドアイランドは、ザ・ヘリテージという米ツアーにおいて34年の歴史を誇る試合を開催してきたが、『ワールドコム』をスポンサーから降板させ、その代わりに州政府から、その財源の1つである売上税を充当してもらうことでトーナメント存続にこぎつけた。レストランでの売上税1パーセントと、飲み物代の売上げの合計約180万ドルが、そのまま2003年トーナメント運営のために充てられる。

そして限られた数だが、数試合はツアーが援助を施すという形でトーナメントを残す措置を取った。2003年で5年目を迎えるリノタホオープンだが、タイトルスポンサーがおらず、ツアーからの撤退も囁かれていた。しかしツアーからの援助により延命が図られた。同トーナメントディレクターのジム・クラインは、「ほっと一安心」と胸をなでおろす。

そして11月25日、ツアーは2003年の正式スケジュールを発表し、48試合が催される事が明らかにされた。2002年度に比べ、1試合減だけに踏みとどまった。無くなったのは、『エアカナダ選手権』『ビュイックチャレンジ』『ミケロブ選手権』の3つで、新たに加わったのは『ワーコビアUS選手権』だ。

空前のゴルフブームにより観戦するファンが急増。この影響で、同週に2試合が開催されるという過密スケジュールが組まれ、問題視されていたが、それが多少解消されたと言える。

米ツアー関係者によると、1995年と比較してゴルフファンは25%も増加したという。さらに試合中継におけるテレビ視聴率が17%も伸び、2位の伸び率を見せたNASCAR(自動車レース)中継(10%の伸び率)を大きく引き離している。ちなみに、米国4大スポーツであるNBA(バスケットボール)、NHL(ホッケー)、NFL(アメフト)、MLB(野球)は1996年以来、視聴率は下降線をたどっている。

「近年は特にプロゴルフツアーへの関心が高まっており、これはゴルフ界において、かつてないほどの隆盛と言える」とフィンチェム氏は語る。

今回のスポンサー探しで奔走したのは、米ツアーのシニアバイスプレジデントを務めるトム・ウェイド氏と、ヘンリー・ヒューズ氏の2人だ。

COO(最高執行責任者)を務めるヒューズ氏は、ビジネス運営部のデューク・バトラー氏、ティム・クロスビー氏、ウェイン・ホワイト氏らのサポートを得て、この財政難を克服した。この3人が最前線に立ち、各トーナメントディレクターらと相談し、テレビ放映に見合う新たなスポンサー探しに明け暮れた。

マーケティング責任者のウェイド氏が部下を束ね、あらゆる手段を使ってスポンサー探しを敢行。特にスポーツ関連企業と、世界のトップ500の企業に注目して当たらせた。

トム・ウェイド氏
「考え得る全ての手を尽くした。多くの部下が毎日夜遅くまで、そして週末も関係なく働いてくれた」

その結果、消滅の危機にあったディズニーワールドでの試合に、2年ぶりにスポンサーがつくことが決定した。日本の電気メーカー『FUNAI』である。その他、『ザ・ヘリテージ』や『B.C.オープン』、『グレーターハートフォードオープン(GHO)』に関しては、地方政府がトーナメント存続のため大きな役割を果した。特にGHOは、危機一髪というところで救われることになった。

GHOは長年スポンサーを務めていたキヤノンを失い、地元企業に資金提供を求めたが、遅々として進まなかった。そして2003年のトーナメント開催が危ういことを公式発表すると、コネチカット州知事ジョン・オーランド氏が動き、コネチカット大学財政委員会の委員長を務めるロジャー・ゲルフェンビエン氏をツアーディレクターに紹介。その後はトントン拍子に話が進んでいった。

GHOツアーディレクター、ダン・ベイカー氏
「オーランド氏とゲルフェンビエン氏のおかげです。彼らが迅速に、可能性のある企業との接点を作ってくれた」

ニューヨーク州の上院議員を務めるトーマス・リボース氏はニューヨークで開催されるB.C.オープンの支持者だったが、やはり彼もトーナメント存続のために動いた1人で、2つの企業をトーナメントスポンサーに取り付けた。

そして『ザ・ヘリテージ』だが、これは飲食代の売上税を回すことで、トーナメント運営費500万ドルを捻出する。ボランティア用のディナー費を削除するなどで、合計70,000ドルのコスト削減も実施するなど、対策を徹底した。

スポンサーがいないだけで、トーナメント運営がこれほど困難になるものだということが分って頂けただろうか。そして米ツアー自慢の1つだった地元に還元するチャリティ基金も、この影響により縮小されることになるだろう。

この事について米ツアー関係者は「楽観視している」と答える。今回スポンサー探しに四苦八苦したトーナメントも、長い間続いてきた歴史あるものだということを考えると、次回はスポンサーもすぐに見つかるだろうという見方をしているのだ。ウェイド氏は自信を持って「2004年度は、スポンサー問題に関しては解決されると信じている。より良い需要と供給の関係が構築できるものと思っている」と言った。

しかし「経済不況と同時多発テロ関連の戦争を考えると、楽観視ばかりはしていられない」と、厳しい見方をする関係者もいた。経済問題ばかりは、未来にならないと分らない。さて来年はどうなるか。

by Golfweek


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