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22歳の堀川未来夢が番狂わせ「石川遼くんに勝った!」

2015/09/11 16:53

北海道の恵庭カントリー倶楽部で開幕したツアー外競技「片山晋呉インビテーショナル ネスレ日本マッチプレー選手権 レクサス杯」初日。昨年11月にプロ転向したばかりの堀川未来夢(ほりかわ・みくむ)が、1回戦で米ツアーメンバーの石川遼を1UPで撃破した。

両者攻め手を欠き、オールスクエアで迎えた最終18番。オナーの石川が1打目を林に入れたのを見た堀川は、脳裏に一瞬よぎった思いを懸命にかき消した。「刻む手もある。けれど、攻めなくちゃいけない。守りに入ってパーを狙いに行くとボギーにつながる」――。

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恐怖心を捨てて1Wを振り切り、フェアウェイをキープ。2打目のターゲットもピンの根元に絞って3mのバーディチャンスを作った。3打目でようやくグリーンに乗せた石川が、パーパットを外したところでコンシード(ギブアップ)。大金星を手にした22歳は「しんどかったです…でも、気持ちで負けなかった。実力は(石川が)格上。狭いホールも1Wを持って攻めました」と精根尽き果てた顔で、味わったことのない達成感に浸った。

昨年末の予選会を通過し、プロ1年目での賞金シード獲得を狙っている(現在の賞金ランクは56位)。アマチュア時代に国体優勝などの経験があるが、小中学生時代は目立った成績がなく、1歳年上の石川は雲の上の存在。むしろ2つ上の兄、佳夢偉(かむい)さんの方が、学生時代に石川と同組でプレーした経験があり、いつも“自慢されるネタ”だった。いまでも「石川遼くん」と他人行儀に呼んでしまうのはそのためだ。

潜在能力は自分の手で必死に引き出した。日大に進学後、筋力トレーニングに精を出し、入学当時に64kgだった体重は現在78kgになった。ツアーでの平均飛距離は260yd中盤で「1Wを打っても、3Wの石川遼くんに置いて行かれた」と恥ずかしそうにするが、シャツからはち切れんばかりの胸板は努力のたまもの。

今春、卒業した後も志願して大学に残り、コーチとして静岡県三島市にある寮での生活を続けている。「周りの後輩たちにはトップアマの選手がたくさんいてモチベーションにもなる。朝は5時半に起きてトレーニングをしたりもする。ひとりではできない生活」。甘えを自ら排除できる、けれんみないルーキーだ。

「当たって砕けろ」の心構えは、1日にして光るべき自信に生まれ変わった。「この緊張を乗り越えられたのだから、大抵のことはできると思える」と堀川。クラブハウスに引き上げてくるニューヒーロー候補を、窓越しで満面の笑みで迎えたのは大会ホストであり、大学の先輩でもある片山晋呉だった。

父がつけてくれた「“未来”に“夢”を持て」というお気に入りの名前。「いくつになっても“名前負け”しないようにしなくちゃいけませんね(笑)。見てくれる人に名前を売りたい」。夏の終わりの番狂わせは、必ずやそのきっかけになる。(北海道恵庭市/桂川洋一)

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