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2019年 AIG全英女子オープン
期間:08/01〜08/04 場所:ウォーバーンGC(イングランド)

「日本を引っ張る存在に」渋野日向子のシンデレラストーリーは続く

◇海外女子メジャー◇AIG全英女子オープン 最終日(4日)◇ウォーバーンGC(イングランド)◇6585yd(パー72)

シンデレラストーリーには、信じられないような続きがあった。渋野日向子が、日本ゴルフ界の歴史に名を刻むメジャー優勝を果たした。2打差の単独首位から「68」で回り、通算18アンダーで逃げ切り。一時は逆転を許して2打差をつけられたが、得意の後半に再逆転した。今季国内ツアーでブレークした20歳が、1977年「全米女子プロゴルフ選手権」を制した樋口久子以来となる日本人2人目の快挙を成し遂げた。

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これだけの偉業であっても、渋野はやはり天真爛漫だった。首位に並んで迎えた最終18番、下り5mのバーディパットを残し、「どんなガッツポーズをしようかな」と考えを巡らせた。スライスラインに乗ったボールが、カップに落ちた瞬間、一度は我を忘れた。パターを持った左手を上げ、右手で目を覆う。しかし、「泣くのかなって(笑)。でも、全然涙が出てこないーって」。隣で号泣するキャディを務めた青木翔コーチを尻目に、満面の笑みを浮かべた。

初の米ツアー、初のメジャーで最終日最終組は出来過ぎ。「正直この位置でずっと回って、今週はかなり疲れていた」。ラウンド前は来年出場権を得られる「15位に入れれば良いかな」とあえて気楽を装った。前半3番で15mから1.5mをオーバーさせると、返しを2度外す4パットのダブルボギー。その後はバーディ、ボギーを繰り返し、2組前で首位に立ったリゼット・サラスに2打差とされて折り返した。

勝負所は後半インと頭にあった。初日、3日目と「30」(パー36)で回り、「後半に伸ばしていたことは意識していた」。父・悟(さとる)さんが作った大きなおにぎりを頬張り、後半10番でバーディを奪うと、ティが前に設定された1オン可能な12番は、前3日間と違い1Wを握って2パットのバーディ。下1.5mを沈めた13番で2連続とすると、15番は上りの3mを放ち、ボールが決まる前に動き出しバーディ。土壇場でサラスに並んだ。

最終18番はフェアウェイから164yd。大ギャラリーが見守る中「ここでシャンクしたらやばいよね」。青木コーチに向けておどけたが、すぐに真面目な表情に切り替わった。「バーディか、ボギーか、のどっちか。プレーオフになったら、たぶん勝てない。だからここで決める」―。6Iで強気に攻め抜いた。

本格参戦1年目の国内メジャーで初優勝し計2勝、さらに世界トップへの階段を一気に駆け上がった。意識を変えたのは、2018年7月の西日本豪雨。故郷・岡山県にも被害が出た。当時は2度目のプロテストの合格前。ゴルファーとして、自分にできることはないか―。ただ試合で結果を出せず、地元に対する無力さが残る。答えは単純、結果で皆を喜ばすこと。目の色が変わり、試合を終えて暗闇の中3時間以上パット練習に明け暮れる日もあった。

岡本綾子宮里藍さん、日本のレジェントと呼ばれる先輩が達成できなかったメジャー制覇。「自分は全然(宮里)藍さんとは比べものにはならないけど、日本を引っ張る存在に近づけたのかなと思う。でも、そう思ったら天狗になる(笑)。私はまだまだ頑張らないといけないと思う」。世界の頂に立っても、まだまだ物語には続きがある。(イングランド・ウォーバーン/林洋平)

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