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覚醒した宮里優作 苦節11年からアッサリ“2連勝”

三重県の東建多度カントリークラブ・名古屋で開催された国内男子ツアー「東建ホームメイトカップ」。宮里優作が昨年の最終戦「日本シリーズJTカップ」以来となるツアー2勝目を飾った。8アンダーの2位から出ると1番から圧巻の5連続バーディをマークするなど「65」(パー71)。通算14アンダーとして2位の岩田寛を2打差で振り切った。

ボールの行方に送る視線は自信でみなぎっていた。曇り空の下、4日間で一番の冷え込みとなった最終日。スタートホールで段を下る9メートルのバーディパットを沈め、さっそくガッツポーズを作った宮里は、直後からショットを1ピン以内に絡め続けた。3メートルを惜しくも外した6番(パー3)で連続バーディは「5」でストップしたが、直後の7番の第1打もきっちりとフェアウェイを捕え、隙を作らない。

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後続に4ストロークのリードを持ってハーフターン。10番でボギーを叩いても、すぐに11番から2連続バーディを奪い返す逞しさ。1つの綻びから、途端に穴が大きくなっていくような、数年前、いや数ヶ月前までに見せていたような脆さはみじんも無かった。16番(パー3)で3パットボギーを叩いても、最後は悠々と逃げ切った。

昨年、プロ11年目にして手にした待望の「1勝」の価値は計り知れない。「実感がない。本当に自分のゴルフをやっただけ。こんなにアッサリ勝っていいのか…」。生みの苦しみを乗り越えた33歳は、貯え続けてきた力を存分に発揮できるようになった。

「(最終日を単独首位から出た)日本シリーズの時とは全然違う。今日は追いかける立場。自分がバタバタしなければ大丈夫だと思った。1勝目より2勝目の方が難しいと言われるけれど、本当に良かった」

今週は毎日、名古屋市内の自宅から通勤していた。本人が「1勝しても僕自身は何も変わっていない」という言葉に、紗千恵夫人も大きく頷く。「(1勝する前と)全然変わらず、良いパパのままで、淡々としています。普段は上の子(?杏ちゃん)の幼稚園の送り迎えも、ママチャリでしてくれる」。

ただ、アマ時代の輝かしい実績、元来持ち合わせている高いショット能力が、初勝利をきっかけにして一気に結果につながり始めたことは事実だ。

「いきなり東建で勝つとは思わなかったけれど、昔から(仲間内では)1回勝ったら、10回勝てるんじゃないかって言っていた。そのくらい完成されたゴルフをしていたから」。長年、連れ添ってきた兄の聖志がそう言った。

年をまたいで国内で“2連勝”。シーズンを最高の形で滑り出した。「最後の方は手が痺れて動かなくなった。3打差あっても」と正直だが、だから思える。「まだ伸びしろがあるんだなって」。覚醒した大器が、賞金王獲りへ颯爽と走り出した。(三重県桑名市/桂川洋一)

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