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<堀江×川淵4>次代を担うヒーロー発掘の方法はあるか?

川淵三郎氏vs.堀江貴文氏 対談その4

さすがエージシューター。ビニール傘でも素 さすがエージシューター。ビニール傘でも素晴らしいスイングを披露してくれた川淵キャプテン

【堀江貴文氏(以下、堀江)】今、日本のプロゴルフ界の問題の1つはスター選手がいないところだと思います。

【川淵三郎氏(以下、川淵)】それは致命的だよね。

【堀江】ジャンボ尾崎さんの頃はすごく盛り上がっていましたからね。あの頃の日本ツアーの賞金総額って、PGAツアーとそんなに変わらなかったんです。それにもかかわらず、今はもう何倍にも開いちゃったというのは、明らかに何かが間違っていて、ここ20年で失敗したということです。そこは課題として感じていて、“どうやったらスター選手が生まれるのか?”ということを考えているのかな?と思いますね。

【川淵】女子はうまくいってるね。

【堀江】女子ゴルフは世界でも有数の成功しているプロスポーツビジネスだと思います。賞金総額は1991年、ちょうどバブル期の倍くらいに増えていますよね。

【川淵】女子のプロスポーツで何が一番お金を稼げるかというと、ゴルフなんだよね。そういう意味では、親御さんが子供に何かをさせたいという時に“プロゴルファー”というのは一番の目標にはなるよね。なでしこジャパンよりはるかに目標になりやすい。

堀江さんがおっしゃったように男子プロにはスターがいない。結局みんな、ゴルフを見るというより選手を見に来るんだよね。野球もサッカーでもそうだけど、最初はチームじゃなくて選手を見に来る。そういう意味では、今のゴルファーで魅力ある選手っていうのはあまりいないですね。

【堀江】なんでいないんですかね?

【川淵】これは、ゴルフをやる子供たちの絶対数が少ないからだと思いますよ。良い選手に育てると言っても、整備された環境と良い指導者だけでは出てこないんです。やっぱり天賦の才があってスター性を持った一流プレーヤーは自然発生的に出てくるもので、そこに整備された環境と良い指導者がいて、初めて一流選手になるんです。そうなると、すべては“いかに多くの子供にゴルフをやるチャンスを与えるか”に尽きると、僕は思っているんですよね。

【堀江】そういう意味で言うと、昔に比べてゴルフは明らかにやり易くはなっていますよね。

【川淵】相当やりやすくなっているんだけど…。たとえば、昔ノルウェーに行ったとき、あっちは白夜で、夜9時頃だったと思うけど、ゴルフ場に行くと練習場は驚くことに全部子供ばっかりなんだよね。全部無料らしいんですよ。こういうのを小さい時からやっていたら、ゴルフが好きな子はどんどん増えるだろうなって思いましたよ。日本はそういう環境がないもんね。

【堀江】沖縄とか九州では、子供たちの練習環境が整っていますね。

【川淵】ああ、だからあの辺から良い選手が出て来るんだ。僕に言わせれば、ゴルフ界全体でパイを大きくすることをやらないと。今は小さくなっていっているんだから。

【堀江】僕がダメだなと思うのは、協会がそういうのを推進しているかというと、どうもそうじゃない感じがしていて。例えば石川遼君の杉並学院時代のゴルフ部監督だった吉岡徹治さんは、今ジュニアの塾をやっていますけど、協会がそういう育成をバックアップしているかというと、どうも組織としてやろうとしているようには思えないんですよね。

関連リンク:アジアジュニアゴルフ協会

【川淵】結局そういうことだね。業務目標にジュニア育成や振興なんかは出ているけど、じゃあ具体的にどうしているの?って話だよね。ゴルフ場も含めた関係者、関係団体が選手をできるだけ発掘する。そのために、協会で何かうまい仕組みを作って、ゴルフ場が子供に対して何時以降に練習させるときにちゃんと指導者がついてくるとか、初めてゴルフをやる人のために道具を準備しているとか。そういうのは個人の努力だけでは広がらないから、やっぱり組織でないとなかなかね。そこまで立ち入ってやらないと、もう変わらないんじゃないかと思うんだよね。

ゴルフ場もお客さんに来て貰わなくちゃ困るわけでしょ。そういう育成をサポートすることで最後は自分のところに回ってくるのだから、ちょっとお金を出すとか、一体になってやればいいのに。皆それぞれ勝手にやっているから、ゴルフの総合力になってないんだよ。

川淵氏と堀江氏。価値観が似ていて、気が合 川淵氏と堀江氏。価値観が似ていて、気が合うんでしょうね。

【堀江】ティーチングメソッドに対しても疑問があります。例えば、(ティーチングの)ライセンス制度はあるけど、どこまで教えているんだろう?とか。吉岡さんは石川遼薗田峻輔といった良い選手を育てているけど、そういうメソッドがあまり共有されていないような気がします。協会全体でジュニアを育成するメソッドが、例えばサッカーほどは共有されていないと思います。

【川淵】そうかもしれないね。要は、ゴルフに関わる人たちが、ゴルフ界が発展するためには“ジュニアの養成以外にない”ということを知るべきだよね。

【堀江】しかもそこで、スター選手を狙って発掘できるかというとそんなことはなくて。

【川淵】そうそう。大人になってもゴルフを楽しむ人をジュニアから育てていくということで、優秀なプロを育てようというのとは別だからね。そういうことを含めて努力が足りない。ゴルフを楽しむ人が減ってきたっていう中で、どんな手を打っているかというと、僕が聞いている限りではもう皆無だね。ゴルフ場はつぶれるばっかりでしょう。自分たちでどうしたらいいかって真剣に考えていないからこうなっているんだよ。だいぶ前からだよ、バブルが弾けて、ゴルフ場の会員権がどんどん安くなり始めた頃からだから。

【堀江】少し話は逸れますが、ゴルフ場に関しては中国人とか韓国人のインバウンドがすごく入ってきているんですよ。とくに九州がすごく好調で。

【川淵】あー、そっちがね。

【堀江】特に韓国は北海道と同じで冬の間はゴルフができないから、宮崎とかに来るんですよ。韓国人とか中国人がゴルフ場オーナーっていう時代はそこまで来ていると思います。実際売買の話も来ていますし。もし中国人に売ったらお金になるし、中国人が大挙してくるようになる。ゴルフ場自体は、割と存続するのかなというのが僕の感覚です。

【川淵】基本的に草の根とトップアスリートの両方が増えていかないとゴルフ界は発展しない。サッカーも同じだけど、高校で育つ選手もいるし、クラブで育つ選手もいて、エリートを作る上で色々なやり方があるなかで決め手というのはないわけね。たまたま良い選手が出てくるということで、そうした手法をいかに多く物理的に増やしていくかということを協会が考えなければならないのに、考えているようには思えないです。今はほとんど民間任せ、個人任せで、自然に育ってくるのを待っているんです。

【堀江】そういう意味ではコーチは増えましたよね。そもそも、ゴルフにコーチが必要だということすら分かっていなかったぐらいですからね。プロスポーツって何でもそうですけど、コーチがいないとフォームは絶対崩れますからね。タイガー・ウッズですらコーチがいるわけですから。

(続く)

(取材構成/編集部・今岡涼太)

川淵 三郎
1936年、大阪府高石市出身。57年、早稲田大学に入学。58年に日本代表選手に選抜され、60年ワールドカップチリ大会アジア予選に出場。61年に古河電工に入社。64年、東京オリンピックに出場。80年、ロサンゼルルオリンピック強化部長を経て日本代表監督に就任。88年、日本サッカーリーグ(JSL)の総務主事、日本サッカー協会理事。91年に日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)初代チェアマンに就任。2002年~2008年日本サッカー協会第10代会長。名誉会長を経て、現在は最高顧問。2013年より公立大学法人首都大学東京の理事長。また、2014年から日本バスケットボール界の改革に関わり、2015年5月に日本バスケットボール協会(JBA)会長に就任。現在はJBAエグゼクティブアドバイザー。

堀江 貴文
1972年福岡県八女市生まれ。東京大学在学中の96年に有限会社オン・ザ・エッヂを設立。エッジ、ライブドアと社名を変え、プロ野球球団やニッポン放送買収で世間の注目を集める。05年には衆議院の総選挙にも立候補したが、翌年に証券取引法違反で逮捕され、11年6月に収監。刑期を終えた現在はSNS株式会社のファウンダー兼従業員として活動を行っている。愛称はホリエモン。