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全英オープン
期間:07/20~07/23  場所: ロイヤルバークデールGC(イングランド)

“練習場からリカバリー”スピースが魅せた全英史に残るショット

13番ホールでアンプレヤブル後、練習場から3打目を放つ (Richard HeathcoteR&A

◇海外メジャー◇全英オープン 最終日(23日)◇ロイヤルバークデールGC(イングランド)◇7156yd(パー70)

メディアセンターの巨大モニターでは、セベ・バレステロス(スペイン)が駐車場から見事なリカバリーショットを放った1979年ロイヤルリザムの16番ホールの映像が流されていた。この日のジョーダン・スピースの13番ホールでのアップ&ダウンも、バレステロスのショットと同じように、時を経ても語り継がれる1打となることだろう。

2位に3打差を付けて出た最終日。スピースは序盤4ホールで3ボギーとし、マット・クーチャーに並ばれてしまう。16年「マスターズ」のサンデーバック9で、12番(パー3)で「7」を叩くなど5打のリードを守れなかった悪夢が、否が応にも蘇る。

クーチャーと8アンダーで並んで迎えた13番。スピースの1Wショットは大きく右へ流れて、砂丘の斜面にある深いラフの中へ消えていった。「何度もアンプレヤブルをした経験があるから、1つ聞いたんだ。練習場はOBかい?って」。13番ホールのカップと、スピースが第1打を打ち込んだ地点の後方には、ドライビングレンジが広がっている。スピースはここに1罰打のもとにドロップすると、3打目をグリーン手前まで運び、最後は3mを沈めてボギーでこのホールを切り抜けた。

「あの(ボギー)パットは大きかった。(外せば首位と)2打差になるだけじゃなく、2位タイになるところだった。それに(この日)5オーバーになるってことが頭をよぎった」。

キャディのマイケル・グレラーがスピースに語りかける。「このホールは落としたけど、いまこの瞬間、流れが変わったぞ」。

続く14番(パー3)。6Iで打ったスピースの第1打は、カップをかすめて1.5mにぴたり。これを沈めたスピースは雄叫びを上げてガッツポーズを繰り出した。再びクーチャーに並ぶ首位に浮上すると、「流れはこっちにあるし、首位にも並んだ。突然、この試合に勝てると思ったんだ。4番ホールが終わってからつい30分前までは、まったくそう感じなかったのに」と、気持ちも180度転換した。

スピースは、自身が大切にするものを「自分の信念、家族、そしてゴルフ」と順序付ける。過去にメジャーで自滅した不吉な思い出も、信念でねじ伏せる。続く15番(パー5)で15mほどのイーグルパットを沈めると、カップを指さして歩き出した。

「(グレラーに)カップから球を拾えって言ったんだ。ちょっと伝統的な仕草なんだけど、チップインをした場合、キャディが球を拾うのが慣例なんだ。ここにいると、テレビはいつも過去の映像を流しているし、それをなにかのきっかけで見たんだ。あの時点ではほぼ無意識だったけど」。

16番、17番でも連続バーディ。最終18番でパーオンに成功させると、スピースは大ギャラリーを飲み込んだ巨大スタンドからの歓声に、帽子をあげて微笑んだ。

今週27日に24歳になるスピースだが、24歳までに3つのメジャー大会を制したのは、ジャック・ニクラスとスピースの2人だけ。来月の全米プロで勝利すれば、タイガー・ウッズの記録を抜いて、史上最年少でのキャリアグランドスラム達成となる。

自分を信じて、困難を乗り越えていく姿勢。リンクスの過酷なコンディションを耐え抜いたスピースの勝利は、それを体現したものだった。(英国サウスポート/今岡涼太)

今岡涼太(いまおかりょうた)
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka

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