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全米オープン
期間:06/18~06/21  場所: チェンバーズベイGC(ワシントン州)

なくしたボールは2つ…議論沸騰の全米OPコースでプレーしてみた

コース内に唯一残された木が16番ティの脇 コース内に唯一残された木が16番ティの脇に立つ。日中はちょうど良い木陰も作ってくれる。テイラーと筆者。

ワシントン州初開催でジョーダン・スピースの歴史的なメジャー開幕2連勝が達成された今年の「全米オープン」は、コースについての議論が絶えない大会でもあった。

ゲーリー・プレーヤーにはじまり、ヘンリック・ステンソンロリー・マキロイジョーダン・スピース、果てはイアン・ポールターからビリー・ホーシェルまで。その論争は、開催コースのチェンバーズベイと主催するUSGA(全米ゴルフ協会)、さらに設計者のロバート・トレント・ジョーンズ・ジュニアまでをも巻き込んだ。

果たして、そんなにひどいコースなのか?大会の翌月曜日にチェンバーズベイをラウンドする機会を得たので、そのリポートを書いてみたい。(ワシントン州ユニバーシティプレイス/今岡涼太)

チェンバーズベイのグリーン。切り抜きはア チェンバーズベイのグリーン。切り抜きはアップ写真。確かに球はポコポコとあらぬ方向に曲がっていく

メディア用にUSGAが押さえたプレー枠の抽選に当たったのだ。同組となったのは、メジャー大会などでラジオ中継を行うSiriusXMに務めるテイラー、ブルームバーグでスポーツを担当するマイクとエリック。

当然、クラブは持ってきていない。コースで新品のテーラーメイド製レンタルクラブを調達し、練習場に向かう。幸い手袋だけは持ってきた。球は芝から打ち放題。クラブを借りる際、「球がない」と言うと、タイトリスト製のPRACTICEと書かれた球を3つ渡してくれたが、それだけでは不安なので、こっそりと練習場の球(これはピナクル製)を5つばかりキャディバッグに入れておいた。袋に入れられた木製ティもひとつかみ押し込んだ。

1番のティグラウンド脇で、スコアカードを入手する。そこには「2015年 全米オープン チェンバーズベイ」と誇らしげに書かれている。中面には「TEE IT FORWARD...PLAY IT FASTER…HAVE MORE FUN」の標語もある。自分に合ったティグラウンドを使い、プレー時間を短くして、もっと楽しめ。自然と緊張もほぐれてくる。

記念すべき第1打は1Wをトップして目の前のラフへ。そこからしばらくラフを渡り歩いたが、このラフは茎が長い上に、地面から均等には生えていないのでライがでこぼこで難しい。あ、ちなみに筆者はアマチュアゴルファーの中でも下手なレベルである。こんなコースを無事に回ってこられるのか?という不安はあるが、もうスタートしてしまったのでやるしかない。

グリーンは確かにボコボコ。“ブロッコリー”と呼ばれるのも分かる。薄いフェスキューの芝に混じって、ポアナ芝がところどころに芽を出している。エリックはパットが外れると、ビリー・ホーシェルの真似をして面白がった。(→参照:https://vine.co/v/ei3nWJIhuzH )

ティグラウンドは1Wの飛距離を目安に分けられており、「ネイビー(7165yd)」「サンディ(6513yd)」「ホワイト(6015yd)」「ブルー(5274yd)」と4つある。この日は「サンディ」ティでプレーした。

3番(パー3/145yd)のティショットは、右に出たけどまあまあのショット。グリーン右の傾斜から転がり落ちてグリーンオンし、この日初めてのパー。素直に嬉しい。

ラフはまだらに生えているので意外と難しい ラフはまだらに生えているので意外と難しい。あと、滑りやすいのでご注意を。

スタート前に全員が自分のハンデを申告していた。テイラーが5、マイクとエリックは12。自分はハンデを持っていなかったので、だいたいのレベルを伝えた。数ホール終えたところで、テイラーが気を遣いながらこう言ってきた。「もし、ダブルボギーとかそれ以上のスコアになったら、球をピックアップしてもいいんだよ。たとえば、スコアカードに10とか13とか書くのは、ハンデを貰うためにズルをしているような感じもある」。そうなんだ。ばか正直に大叩きを記入するのが、決して良い行為ということもないんだな。

コースへの怖さから、1Wがほとんど当たらないままで迎えた1オン可能な12番(パー4)。ティは262ydと絶妙の設定で、フェアウェイはグリーン付近まで幅15ydに絞られており、刻むにも正確さが求められる。ええい、もう行くしかない。1Wを思い切り振ると、奇跡的に会心の当たりが出てグリーン右の傾斜から戻ってきてグリーン手前5ydへ。この日2個目のパーとした(もちろんバーディなんて簡単に獲れない)。

14番は「サンディ」ティなら407ydだが、コース内で一番高所にある奧のティに行ってみようということで、みんなが1打ずつトライした。パー4で546yd!マイクによると、タイガー・ウッズはこのホールについて「打っていくラインがない初めてのホール。リンクスコースでもラインはあるが、このホールには1つもない」と嘆いたそうだ。

途中から、テイラーと自分、マイクとエリックがペアとなり、ベストボール方式のマッチプレーを行った。14番を終えて我々が3ダウン。(テイラーに申し訳ない。ちなみに彼はこの日「75」でラウンドした)。筆者が15番(パー3)でグリーン左のスタンド前から傾斜を利用してパターで1.5mに寄せてパーを取ると、テイラーが皆に対してこう宣言した。「彼ら(マイクとエリック)は北(ニュージャージー州出身)の人間だけど、僕はより温かいと言われる南(ノースカロライナ州出身)の人間。今の彼(筆者)の3は2に値する。このホールは君の勝ちだ。だから、我々は2ダウン!」2人もそれに同意した。こういうところが、アメリカ人の楽しいところだ。

細長いグリーンの一番奥にピンが切られた16番では、手前からパターを打つと少し右に出て、そのまま傾斜を転がり落ちてバンカーへ。最終18番では、前日にダスティン・ジョンソンがイーグルチャンスから3パットした地点からパッティング検証をして、あっという間に18ホールが終了した。

9番グリーンを打ち下ろしのティ付近から眺 9番グリーンを打ち下ろしのティ付近から眺めた図。大会中は1度しかこのティは使われなかった

途中から、ピックアップもしながら“適当”にスコアをつけて、数えたスコアは前半59、後半54の「113」。完全ホールアウトでやっていたら、「130」は超えていたと思うが、そうする意味も今となってはよく分からない。球は2つしか、なくならなかった。

「トラベラーズ選手権」の会場で会った石川遼には「硬かったでしょ?」と同意を求められたが、それは毎回グリーンヒットするレベルの人たちの話で、特に感想はない…。

ちなみに、今年の「全米オープン」では12番で26個のイーグルが生まれ、これは1ホールで記録されたイーグル数としては記録を取り始めた1985年以降で最多。4日間全37個のイーグルも、1992年のペブルビーチ(31個)を抜いて最多となった。大会最終日の平均スコア「71.29」は、大会最終日のロースコアを更新。過去、最終日に平均スコアが「72」を下回ったのは今回を含めて3度しかない。

18ホールのスコアカード。パーが3つ!そ 18ホールのスコアカード。パーが3つ!それで充分

プレー中に聞いた話では、グリーン改良と、ホール脇の余計な丘を取り除いてギャラリーの視野を確保する、ということが今後に向けて検討されているという。

口の悪いマイクは「一番ばかげていることは、これをゼロから作ったことだ」と笑っていたが、筆者は、ティグラウンドに多様なオプションがあり、傾斜が楽しく、素晴らしい景色を持つチェンバーズベイは、心からまた回ってみたいと思った。大変魅力的で、アマチュアがプレーしても充分に楽しめるコースだった、というのが総評だ。

今岡涼太(いまおかりょうた)
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka

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