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2013年 プレジデンツカップ
期間:10/03〜10/06 場所:Muirfield Village Golf Club

「恐れを知らない男」松山英樹のプレジデンツカップ戦記

「恐れを知らない男」と現地メディアに評されたのは、初日のフォアボールマッチの最終ホールで、チームにポイントをもたらすスーパーショットを炸裂させたから、だけではない。「今まで見た日本人で一番いい」という声がラジオから流れ、「彼は精神的に強い」と知り合いの韓国人メディアが言う。「韓国人と同じように?」と問い返すと、「いや、韓国人はアップもするけど、すぐダウンもする。彼はずっとだ」と、ロープ外から見た松山英樹の印象をその記者は語った。

初出場となった「プレジデンツカップ」で、世界ランク2位のアダム・スコットと4試合をともに戦い、終盤はパットに苦しんだスコットの代わりにラインを読むことも数度。タイガー・ウッズマット・クーチャー組にも一歩も引かない戦う姿勢が、松山を世界の舞台で強烈に印象づけた。

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我々記者との会話では、時にスコットのことを“ヤツ”と呼び、米国選抜を“アイツら”とぶちかます。そんな心意気が、物怖じしない態度に表れるのだろう。その一方で、「あとから考えれば」と反省もする。「相手選手は気にならなかったけど、組んでいる相手が世界ランク2位の選手なので、自分の中でどこか足を引っ張っちゃいけないとか意識していたのかもしれない。同じチームなのに逆に・・・」と、かすかに揺れた心理状態を打ち明けた。「シングル戦はノンプレッシャーだったのでね!」

世界のトップ選手たちと過ごした1週間は、松山の目指すべきものを鮮明にした。「池にも入れたけど、ショットはほんとうに紙一重だった。パッティングも自分のいいストロークができて入らなかった。“ラインを読む力”とか“風を読む力”とか、いろんな部分を伸ばしていかないといけない。あとはショートゲームの差。150ヤード以内の精度がどの選手もすごくて、自分みたいにミスしている選手はいなかった」。

毎年、PGAツアーの「メモリアルオープン」が開催されていることで、多くの選手が慣れ親しんだミュアフィールドビレッジGC。ここをホームコースとするジェイソン・デイが世界選抜トップの3.5ポイントを獲得したことも偶然ではないだろう。24人中ただ1人、今週が同コースデビュー戦となった松山だったが、「マスターズでも今年の他のメジャーでも良い成績を残せたし、練習ラウンドをできるのであれば不利と感じたことはない」。いいわけ要素はばっさりと切り捨てた。

あえてもう1つ課題を挙げるとすれば、マッチプレーでの戦い方だったかもしれない。日本でマッチプレーといえば、「日本アマチュアゴルフ選手権」が唯一といっていい舞台だ。「日本学生ゴルフ選手権」「アジアアマチュア選手権」「日本ジュニアゴルフ選手権」など、アマチュア時代に数々のタイトルを獲得してきた松山だが、「日本アマ-」に限っていえば、ベスト16が最高位――。

東北福祉大の阿部靖彦監督は「あいつはマッチプレーが苦手。相手がバンカーに入れたのに、同じバンカーに入れたりする」と指摘した。相手を気にせず、自分のゴルフに集中するプレースタイルが、マッチプレー巧者の術中にはまっていた可能性はあるだろう。

ストロークプレーとマッチプレーでのプレースタイルは「同じです。だから勝てないんじゃないですか?」と松山本人も認めている。「丸山(茂樹)さんは“違う”って言うんですけど、よく分からない。それが分かり始めたら、また違った結果になってくるのかなと思うけど、まだまだそのレベルに行っていないってことですね」。その宿題は、いつか松山のゴルフの幅を広げることだろう。

通算成績1勝3敗1分、1.5ポイントを獲得したのが、「プレジデンツカップ」初挑戦となった松山の戦績だ。2年に1度の大舞台は、次回2015年は韓国で開催される。

「高いレベルで噛み合った楽しさは、今までにないくらいの経験だった。すごく良かったと思う」と初挑戦の充実感に浸った1週間だった。「2年後にコイツは文句なしに選ばなくちゃいけないっていう状態になっていないといけない。そこを目指してやっていきたい」。雨上がりの雲間からこぼれた陽光が、松山の鋭い瞳にきらりと反射した。(オハイオ州コロンバス/今岡涼太)

今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール

1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka

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