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2013年 ウィンダム選手権
期間:08/15〜08/18 場所:セッジフィールドCC(ノースカロライナ州)

PGA Tour Rookie / Ryo Ishikawa(11) 完敗

米国PGAツアーの正式メンバーとして本格参戦した2013年。1月に開幕したレギュラーシーズンが「ウィンダム選手権」で幕を閉じた。石川遼の今季戦績は23試合に出場し、トップ10入りが1度、一方で予選落ちが10度。そしてフェデックスカップポイントランキングは141位に終わり、シード獲得に必要な同125位以内の条件を満たせなかった。

2週後に始まる下部ツアー選手との入れ替え戦「ウェブドットコムツアーファイナル」に、シード獲得の希望は残されているが、シーズン当初から目指してきたのはあくまで今大会終了時点でのランキング125位入り。そのラインに遠く及ばなかったのだから完敗だ。

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追い詰められていく感覚を、石川は周囲が思うよりも早く感じていたのかもしれない。

期待に胸を膨らませて向かったはずの新天地。持病の腰痛が悩みの元凶として渡米前から陰を落とした。昨年7月、北海道で行われた国内ツアー、プロアマ戦が行われた日のことだ。「朝、宿舎の周りでランニングに出たんです。ちょっと走ったら急に…」。立ち上がるのも困難な激痛に襲われ、その後、闘い続けていた。

年明け早々に精密検査を受け、患部への負担を軽減するスイング構築に着手した。この試行錯誤が、いざフィールドを米国に移した途端、想像を超えて難しいものになった。

「今までも試合を通してスイングを変えたりしていたけれど、日本ではそれでも結果を出せていた。でもこっちは…。例えば、スイングを変えている時って、どうしてもボールが右だとか、どちらかに行きがちだったりする。でもこっちは、(コースによって)『絶対にこう攻めなくてはいけない』ということが決まっていて、『ティショットが右に行ったら、ピンには寄らない』といったホールがある。日本の場合、どちらのラフからでも狙えることが多い。ピンポジションにしても、コース全体にしてもそうなんです」

実戦の中でテストを続けても、結果が伴わない。石川が自分の肌身で最初に感じた、ツアーとしての日米のレベル差だった。「日本からメジャーだけ(スポットで)出場するのとは違う。そういう意味では(長年シードを確保した)丸山(茂樹)さんのスゴさを感じる」。そう口にしたのは、まだ1月の終わりのことだった。

腰痛の具合は3月末になっても、日替わりの状態。長時間の練習ができなかった。しかし「マスターズ」の最終日にオーガスタナショナルGCで初めて60台をマークした時を境に、徐々にゴルフの状態は上向き始め、患部も6月に一時帰国した際の精密検査では、大幅な回復と診断された。

だが、現状の石川のレベルで、出遅れを許してくれるほど、PGAツアーは甘くなかった。後半戦はショットの向上は見られたが、それ以上に練習が滞ったパッティングに、最後まで悩まされた。前週までの平均飛距離は全体68位、パーオン率は83位と、いずれも125位以内。その傍ら、パッティング技術の指標であるスコアに対するパットの貢献度(Strokes Gained - Putting)は182位に沈んだ。

「ここまで半年間の結果がそうさせている。後悔というのではなく、中盤からは単に自分の実力不足だと思ってきた」。腰が回復し、練習量も徐々に増えて充実感が膨らむ一方で、冷静な頭の中ではそれでも補い切れない何かを感じ始めたようだった。

これまで通り、謙虚に自己を見つめ直す言葉を口にしつつも、今シーズンはひとつのミスから集中力を失い、ゲームを途中で投げてしまうようなシーンが、これまでより多く見られたのは事実。パーオンを逃したホールで、パー、またはバーディを奪う数字の指標であるスクランブリングというデータがある。今季の52.71%は、米ツアーに6試合出場したプロ2年目の2009年に続く悪い数字。粘り強さの欠如は、結果に直結した。「最後まで諦めない」。陳腐なフレーズにも聞こえるが、それも石川の魅力の一つだったはずだ。

石川はここまでのシーズンを振り返り「やっぱり一番きつかったのは最初の方。練習したくてもできなかったから。そう考えると、今は違う」と言った。だからこそ、最後のチャンスである4試合の入れ替え戦にも、自信をのぞかせる。「こっちで長くやることが、大事だと感じた」と胸に秘める覚悟も明かした。

完敗の中で、失ったもの、つかんだもの-。それを見出さなければ、この屈辱のシーズンは無駄になる。

桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール

1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw

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