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ビジェイ・シン、PGAツアー提訴の真意は?

「ザ・プレーヤーズ選手権」初日、タイガー・ウッズブラント・スネデカーマット・クーチャーというこの日の注目組が9番ホールにやってきた。ウッズはティショットをラフに入れて、レイアップした後の3打目を見事ピンそば30センチにつけている。スネデカーは2打目でグリーン手前まで運び、マウンド越えのアプローチを鮮やかなロブショットでベタピンへ。それぞれが期待通りのプレーを見せてバーディを奪っていくと、それまでグリーンを何重にも取り巻いていた多くのギャラリーも、引きずられるように彼らの後を追っていった。

すっかり見通しの良くなった9番グリーン。続いてそこに現れたのは、あのビジェイ・シンだ。2打目をグリーン手前のバンカーに入れたが、そこから1.5メートルにつけるナイスリカバリーを見せると、数人のギャラリーが拍手を送った。だが、続くバーディパットを外すと、シンは不満そうにパターをキャディに渡し、我が道を行くかのように超然とグリーンを後にした。

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シンがPGAツアーを訴えたというニュースが駆け巡ったのは、「ザ・プレーヤーズ選手権」開幕前日のこと。今年1月28日、WADA(世界アンチドーピング機構)およびPGAツアーの禁止薬物リストに記載されているIGF-1という物質を含んだ「鹿の角スプレー」を使用していることをスポーツイラストレイテッド誌上で認めたのはシン本人だ。

IGF-1は、現時点で血液検査などのドーピング検査手順に含まれていない。だが、PGAツアーはシンから入手した「鹿の角スプレー」を、WADAが承認するUCLAの研究所で分析しIGF-1が含まれていることを確認すると、ドーピング検査の結果如何に関わらず、禁止薬物を使用することはツアーのドーピング禁止ポリシーに違反するとし、90日の出場停止処分を科すこととした。シンはすぐに抗議をする。

この抗議を受け、出場停止の懲罰はいったん保留される。だが、この期間にシンが出場した「マスターズ」を含む5試合で獲得した99,980ドル(約1,000万円)の賞金は、ツアーにより第三者機関に預託される。そして、調停の結果によっては没収されることもあるとされた。

ところが、4月30日にWADAが「鹿の角スプレー」にはIGF-1が少量含まれているものの、ドーピング検査で陽性とならないかぎり、スプレー自体は禁止リストから外すと見解を改める。それを受けて、PGAツアーもシンの行為をドーピング禁止ポリシー違反とは見なさないとし、事態は一件落着するかに思われていた。

今回のシンの行動に、ツアーを取り巻くメディアやファンは一様に驚きを見せている。シンは2011年にマーク・カルカベッキアが同スプレーを使用していたときは口頭注意で済まされただけだったことや、科学的根拠の無いままの賞金の一時預託、さらにその扱いによっての名誉毀損などを訴えの根拠としている。

だが、生涯獲得賞金で3位にあたる67,479,870ドル(約68億円)を稼がせてくれた母体であるツアーを訴えるというのは、メリット以上にデメリットの方が大きいのではないだろうか?ギャラリーはどんな気持ちでシンを応援すれば良いのだろう?しかし、シンが感じている“不当な扱いをされた”という感情は、そんな打算的な計算では解消できないものかもしれない。(米国フロリダ州/今岡涼太)

今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール

1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka

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2013年 ザ・プレーヤーズ選手権

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