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宮里藍を包む“笑顔のウイルス” リディア・コーが思うこと

◇米国女子◇ウォルマート NW アーカンソー選手権 by P&G 最終日(25日)◇ピナクルCC(アーカンソー州)◇6331yd(パー71)

アメリカはキビしい。ひいき目で見ても、今シーズン限りで現役を退く宮里藍はまだ、ツアーを代表するスター選手のひとりでしかなかった。

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4日間で3万4500人が来場した国内ツアー「サントリーレディス」から2週間後、主戦場での12年目のシーズンに戻った宮里は、2カ月ぶりの米ツアーに出場した。前日までの2日間の予選ラウンドでは、いずれも大会の歴代王者で、世界ランキング1位に上り詰めた経験のある2人と同じ組でプレーした。

大会初日のスタートティ。ツアーでの実績とともに名前がコールされる際、宮里への声援の量はリディア・コー(ニュージーランド)、朴仁妃(韓国)に比べると劣っていた。どれほどの人が引退の報を知っているかは推し量れないが、まだ惜別ムードが漂うとは言い難い。もちろんまだ試合数が多く残っているから、そうも言っていられないのだが。

ただし、たとえ米国でのファンの反応が薄かろうとも、宮里の残してきたものは色あせない。「彼女がツアーで最高にステキな人で、素晴らしいゴルファーであることは、すべての選手が同意してくれると思う」と言ったのはコーだった。

今月初旬まで85週連続で世界ランク1位をキープしていたコーが、宮里と初めて一緒にプレーしたのは5年前。当時15歳のスーパーアマチュアとして出場した、ロイヤルリバプールでの2012年「全英リコー女子オープン」だった。開幕後の天候不順から1日で36ホールを回った最終日に同組になり、宮里の記憶にも「悪天候の中でも素晴らしいプレーをしていた」としっかり残っている。

コーは「彼女は日本だけじゃなくて、世界の女子ゴルフにも大きな影響を与えたと思う。本当に感謝しているし、みんなが引退後の彼女の人生を楽しみにしている」と、キャリア序盤のわずかな期間でも、宮里と同じ時間を過ごせたことを喜んだ。

すでに実績でいえば、メジャーを含む米ツアー14勝を挙げ、宮里(メジャー未勝利で9勝)を上回り、将来性も豊かに違いない。しかし、そんな20歳は数字とは別のところで宮里への敬意を口にした。「もちろんすごい能力があって、日本人で初めて世界ランク1位になったこともそうだけれど、とにかく彼女はステキな人。彼女の周りにいる人はみんな、自然と笑顔になる。“スマイル・ウイルス”ね」

今大会の2日目、こんなシーンがあった。

17番(パー3)を終え、通路を歩きながらギャラリーの子どもたちとハイタッチを重ねていた宮里は、突然足を止め、来た道を数歩引き返した。通りすがりの背中越しで、パパに抱きかかえられた1歳ほどの女の子も列の陰で手を上げていたことに気づいたから。

小さな手を宮里と優しく合わせた赤ちゃんは、無表情のまま18番へ向かう姿を見送っていたが、周りの大人はみんな笑顔になった。

最終日もひとたびティショットを打ったかと思えば、ロープサイドの子どもに自分のボールをプレゼント。その立ち振る舞いはあまりに自然で、引退を決めたから、優勝争いをしていないから、といった理由から来るものとは、どうも思えなかった。

宮里藍はきっと、そうやって14年に凝縮したプロ生活を送ってきた。笑顔のウイルスに感染する人は、現役の終わりが近づいてもまだ減りそうもない。(アーカンソー州ロジャーズ/桂川洋一)

桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール

1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw

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