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上田桃子、イ・ボミの“ひとり勝ち”に警鐘 「もしボミがいなかったら…」

眼下の18番グリーンでは、優勝したイ・ボミ(韓国)を祝福するセレモニーが始まっていた。クラブハウス2階のテラスからその華やかな式典を眺める人々。その背後で、上田桃子はじっと唇を噛んでいた。

「大王製紙エリエールレディスオープン」最終日。イと4打差の3位で同じ最終組から出た上田だったが、ショットもパットも万全でないことは誰よりも自分自身が分かっていた。前半は2つのボギーを叩いて2オーバー。スコアを落としても、福島のギャラリーからは“まだ大丈夫!”“頑張れ桃子!”と温かい声が飛ぶ。「声援をもらうたびに、悔しい気持ちでプレーしていた」という上田。後半は3アンダーと盛り返したが、終わってみればイとの差は6打に開いて決着した。

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「責任を感じるし、自分がどうこう変えられない歯がゆさも感じている」。2007年の賞金女王も、今季は残り1試合となった現在まで優勝に届いていない。「自分が勝負出来る状態じゃないことは分かっていた。60点くらいのショット、パットができれば戦えると思うけど、今年は20~30点が出てしまう。ボミは平均点を下回らない強さを感じる」。もどかしいが、今は力量の差を受け入れるしかない。

年間勝利数では、さらりと7勝目を挙げたイに、5勝のテレサ・ルー(台湾)が続く。今季、日本人選手で複数回優勝を挙げたのは、ともに2勝の成田美寿々渡邉彩香の2人だけ。「差を詰める努力をしないといけない」と、上田はそんな現実に警鐘を鳴らす。

頭に浮かぶのは、国内女子ツアーの先行きだ。海外勢との実力差だけではない。その憂いは、特定の選手に集中しつつある人気の偏りにも及ぶ。「ビジュアルがいいし、強いし、ファンサービスもしっかりする。ボミだって、応援してもらえるだけの努力をしている。でも、もしボミがいなかったら、今の国内女子ツアーの人気はすぐ転がり落ちるくらいの状況だと思う。オリンピックが終わったらどうなるか分からない――」。

2003年に、当時高校3年生の宮里藍が30年ぶりのアマチュア優勝を飾って一躍脚光を浴びた国内女子ツアー。「この基盤は藍ちゃんが作ってくれたけど、それに乗っかっているだけじゃダメ。自分の色を付けられる人が出てこないと、これを続けるのは難しい」と上田はいう。自分を叱咤する言葉だが、29歳となった今は、若手たちへ向けたメッセージでもある。

「私も含めて危機感が足りないと思う。もっと危機感を持ってやらないといけない。若い子たちも、もっとやれるのに現状に満足している選手が多いと思う」。頬に吹き付ける東北の冷たい風も、少しも気にする素振りを見せなかった。(福島県いわき市/今岡涼太)

今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール

1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka

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2015年 大王製紙エリエールレディスオープン



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