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師匠・岡本綾子からの“ひとり立ち” 服部真夕が歩く道

2015/08/23 18:56

3年ぶりに手にしたツアー5勝目。服部真夕 3年ぶりに手にしたツアー5勝目。服部真夕は過去の勝利とは違う喜びをかみしめた

名選手に名伯楽あり。師匠やコーチの存在が多くのプロを栄光に導く現代のゴルフ。だが、彼女が選んだ道は違った。2007年のプロ転向直後から、岡本綾子の門下生としてキャリアを積んできた服部真夕。「CAT Ladies」でつかんだ3年ぶりの優勝は、その偉大な師匠からの“ひとり立ち”を目指す過程での勝利だった。

27歳の大きな決断は今年の春。岡本に電話越しで「これから、ひとりでやってみたいと思います」と伝えた。2012年シーズンを最後に、勝利から見放されていた結果だけが原因ではない。昨季後半から陥った極度のショット不振。迷走から抜け出せない自分のプロ生活を顧みて「私は“自分で考える”ことをしていない」と我に返ったという。

「今までずっと岡本さんに本当にお世話になって、たくさんのことを教わって、取り組んできた。でもどこか岡本さんに甘えている部分が多かった」。分からないことがあれば「岡本さんに聞いて、それを試合で試す」。その繰り返し。7年以上にも及んだレジェンドに頼るだけの自分と、決別することを決めた。

“絶縁”といった状態ではなく、この約3カ月の間に連絡を取ったことも何度かある。だが、道しるべだった岡本と距離を置くことで「自分で考えることがこれほど難しいとは思っていなかった」とも分かった。

苦悩と試行錯誤は実を結ぶ。5月下旬の「ほけんの窓口レディース」の練習場で「アドレスのときに右を向きすぎている」と気付くと、たちまちショットのキレがよみがえった。それまでに9試合連続で予選落ちをしていたことが嘘のようだった。

今週の「CAT Ladies」最終日。リードを持って迎えた後半13番(パー5)、アプローチイップスから抜け出せていない服部に訪れた最大のピンチ。グリーン周りからの3打目で普段のSWではなくPWで寄せたのも、2日目のラウンド後に思い立ち、急きょPWでの練習を重ねたからだった。数カ月の前の自分ならば、そうはいかなかったと実感できた。

夏の箱根でかみしめた喜びは、過去の4勝のものとはひと味も、ふた味も違った。しかし服部にはもうひとつ、気づいたことがある。ウィニングパットを決めても、涙は流れなかった。けれどグリーンを降りると、出迎えてくれたプロたちが顔をくしゃくしゃにしていた。

「自分のことのように泣いてくれる人がいた。うれしかった。ひとりでやると決めても、応援してくれる人、ファンの人もたくさんいる。たくさんの人に支えられて勝ち取れた」。前だけを向いて、ひとりで歩くと決めた道。振り返ればそこには多くの仲間がいた。(神奈川県箱根町/桂川洋一)

桂川洋一(かつらがわよういち)
1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw

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