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家族の前で2季ぶりV 宮里優作“地元”での日常

◇国内男子◇中日クラウンズ 最終日(30日)◇名古屋ゴルフ倶楽部 和合コース(愛知県)6545yd(パー70)

「どうしてあそこでボギーをたたいたの?」。宮里優作にそう“詰め寄る”のは、この春、小学3年生になった愛娘。自宅から車で約15分の場所にある名古屋ゴルフ倶楽部 和合コース。週末2日間、ロープの外で36ホールを歩いた長女・莢杏(らん)さんの手元には、大好きなパパのスコアを記したノートがあった。もちろん彼女は“藍ちゃんの姪っ子”である。

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ここ数年で、本格的にゴルフを始めた莢杏さん。首位で迎えた最終日の朝、宮里は「きょうは誰が優勝するかな?」と声をかけられ、送り出されたという。「『オレじゃないんだ…』とは思ったけど、気を遣ってくれたのかな(笑)」。娘は今、スナッグゴルフ(プラスチック製の道具などを使うゴルフの簡易競技)にも夢中で、近々、今夏の全国大会を目指して地元のチームで予選大会に出場する。会場は三重県の東建多度カントリークラブ・名古屋。パパが2014年4月の「東建ホームメイトカップ」で優勝した場所だ。

沖縄で生まれ育ち、大阪桐蔭高、東北福祉大を出た宮里は約5年前に紗千恵夫人の地元である愛知県に移り住んだ。自分のことを「子どもたちの送り迎え、お風呂、寝かしつけ担当」というが、一般家庭と少し違うところもある。シーズン中、家では娘も、4歳の長男・優吾くんも抱き上げることはない。腰痛などの故障を避けるため、かわいい子どもたちにも対しても、プロアスリートとしてストイックな接し方を心掛けている。

昨年1月にツアー選手会の選手会長に就任した。以前にも増して多忙になったが、ゴルフ経験の乏しい紗千恵夫人とは“いちファン”として、ツアーに関する意見を交換することもある。多くの人をいかにして男子ゴルフに惹きつけるか。ツアーを活性化させる策を練る姿は家庭内でも同じ。寝ても覚めても、会長職のことがなかなか頭から離れない。

ただ、ひとたび“いち選手”の立場に戻れば、抱えてきた思いで胸はいっぱいになる。海外ツアー挑戦の夢が捨てきれない。20代前半で挑戦した米ツアーでは打ちのめされ、日本での初勝利もプロ転向から11年かかったが「40代に近づいたら…自分も、家庭も落ち着いて、むしろ海外に行きやすくなるかもしれないんだ」と言う。

日本ツアーのためリーダーとして奔走する日々を送る30代後半。「基本的には無口な人。家に帰ると、すぐにテレビをつけて海外のゴルフ中継ばかり見るんです。ヨーロピアンツアーも、アジアンツアーも…」と紗千恵さん。家を守る身として、夫の秘めた思いは、もちろん分かっている。「あの人はいつかまた、立ち上がると思います」―――
(愛知県東郷町/桂川洋一)

桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール

1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw

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